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ワン! だ フル!~第1話~

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「…つまり、どう言う事?」
「私はアナタに、”恩返し”をしないといけないのです!」
家の前で倒れていた”ナツ”と言う女の子を、家の中に入れて事情を訊く事になった。
どう言うわけか。
俺に”恩返し”をしないといけないようで、俺の名前も知っている。
俺は幾度となく、こんな状況に会ってきた。
そして、その時の経験を生かすならばー。
「……お帰りください。」
こんな奴を人は「良い人」と呼ぶだろう。
しかしこの女は明らかにおかしい。俺はこんな奴に逢った事もない。
したがって俺は「この女は詐欺か、なにかだ」と思った。早急に追い出す事にした。
「い、いえ!私は帰れないのです!アナタにー」
「あ~はいはい。そう言う風に言われないと、ノルマを達成出来ないわけね?……残念だけど、俺には巻き上げるお金もないから」

今は1人暮らしだけど、出張中の両親が俺にもいるわけだ。
だが詐欺集団のぼったくりに、対応するわけにもいかない。
そう思い、俺はただひたすら邪険にした。
「お金が欲しいんじゃないです!私は”恩返し”をしないと」
「だから、詐欺ならもっとマシな話出せよ」
何度も”恩返し”と言うナツの言葉にも腹が立ち、俺はしかめ面で言った。
「さ、さぎぃ…?」
ナツは少々怒ったような顔で、俺に聞き返した。

「私の事を忘れてしまったのですか?」
突然ナツが切り出し、俺は唖然となった。
「忘れたもなにも、キミの事なんて知らないんだけど?」
詐欺の発言もここまでテンプレすぎると笑えるぜ、と思いながら笑うように返した。
「……」
突然ナツが黙ってしまい、こちらを睨んできた。
「わかりました!そこまで言うなら…これなら思い出してあげます!」
ナツの周りから突然煙のようなものが「ボフン」と出てきた。
次の瞬間、ナツは普通の女の子とは違う姿になっていた。
「い、犬ぅ?」
なぜかナツの頭には犬の耳が、そしてお尻には犬のしっぽが生えてきた。