ワン! だ フル!~第1話~
「死んでる…のか?」
仰向けで寝てる女の子にそっと近づく。
長い茶髪でセーラー服を着ていて、今時の女の子と言うタイプだ。
はっきり言って俺は、ビッチと呼ばれる女子には近づきたくない。
以前俺はこのタイプのせいでひどい目にあい、二度と女子とは会話したくないと決めた。
それでもほっとくわけにもいかない。(俺の家の前で倒れてると俺が犯人みたいに思えて、それが嫌だったから近づいたのもあるが)
俺はズボンのポケットに入れていた携帯を取り出し、警察に通報しようとしていたその時だった。
女の子はパチっと目を開き、むくりと起きたのだ。
俺は腰が抜けるように驚いてしまい、しばらくポカンと口を開けていた。
「良かった…死んではいないのか…」
なんとか今の状態を理解した俺は、ホッとため息を出した。
「アナタがハルさんですね!初めまして!私アナタに”恩返し”をしないといけないのです!今日から”恩返し”をする為に、よろしくお願いします!」
俺の名前を知っていたのも躍いたが、なにを言ってるのかわからなかった。
「私は…そうですね…。私は”ナツ”です!よろしくお願いします!ハル様!」
ニコッと笑う顔は可愛く、しばらく俺は見とれていた。
作品名:ワン! だ フル!~第1話~ 作家名:ユーキェ