連載小説「六連星(むつらぼし)」第36話~40話
連載小説「六連星(むつらぼし)」第40話
「東北本線、松島駅」
東北本線の松島駅は、海からやや離れた場所に設置されている。
松島海岸や、有名な五大堂、マリンピア松島水族館などの観光地区へ
行くためには、仙石線の松島海岸駅の方が遥かに近い。
便も良いために仙台駅では、仙石線を利用するように案内している。
「あら、予想外にお洒落で、出来たばかりの真新しい駅舎だわ・・・・」
駅舎を見上げて、響が驚きの声を上げる。
一日の利用客が千人ちょっとの実績からは、考えられないほど、
新築されたばかりの東北本線・松島駅は、和風でモダン過ぎる駅だ。
入口付近は総ガラス張りで、広々とした開放的なデザインになっている。
待合室も広い。室内にも充分すぎるほどの明るさが溢れている。
「以前の松島駅は築後65年と、老朽化しました。
つい最近、鉄骨平屋のモダンな和風駅舎として、完成したばかりです。
立て替えと同時に、それまではとても不便で50センチ以上もあった
ホームの段差も、ようやく解消されました。
スロープも整備されて、全体にバリアフリー化されました。
お年寄りたちにも使いやすく、かつ、便利になりました」
待合室に人影は無く、待っていたのは元看護師の一人だけだ。
荻原浩子ですと自己紹介したその人は、こちらが質問する前から、
眼を細め、新しくなった松島駅の自慢話をはじめてしまう。
作品名:連載小説「六連星(むつらぼし)」第36話~40話 作家名:落合順平