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あたたかい場所

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そのせいで少し疲れたみたいで、今は眠っています
レイ   そう
ミリヤ  でも、嬉しいことがあったんです
     コウスケが自分で、ここにいたいって言ってくれて
レイ   そう!
     良かったわね
ミリヤ  はい!
タツヤ  何々?
     何の話?
レイ   コウスケさんが頑張ったんだって
     後で会いに行きましょうか
タツヤ  へぇそうなんだ!
     わかった!
     で、コウスケって誰?
ミリヤ  ・・・・え
レイ   私のお友達よ
     タツもきっと仲良くなると思う
タツヤ  そっか!
     楽しみだな
     それで、君は誰?
ミリヤ  ・・・えっと
レイ   コウスケさんの恋人のミリヤさん
     とってもいい子なのよ
タツヤ  へぇ!
     よろしくね!
ミリヤ  ・・・・あの
レイ   はい?
ミリヤ  タツヤさんは・・・私をからかっているんでしょうか?
レイ   え?
ミリヤ  名前・・・
レイ   えぇ?
     いやですよミリヤさん
ただの記憶障害です
ミリヤ  記憶障害・・・?
レイ   はい
ミリヤ  記憶障害って・・・?
レイ   ・・・知らないんですか・・・?
     施術を受けたら・・・
ミリヤ  ・・・
レイ   そうでしたか・・・
     どこまで知っているんですか?
ミリヤ  ・・私は、ただ、嫌な気持ちを忘れられるって
     コウスケ、本当に苦しそうで
     何とかしてあげたくて・・・だから詳しい話はあまり・・・
レイ   なるほど・・・
     まぁ、間違っていませんね
     安心してください
     記憶障害と言っても、生きていくうえではなんの心配もありませんし
     ミリヤさんのことだけは絶対に忘れませんから
     それに―――・・・
タツヤ  ねぇ
     レイはボクが一番でしょ?
     じゃぁもうその子とは話終わりにして
レイ   ・・・わかった、タツ
     少し散歩でもしよっか
タツ   しよう!
     あ、ボク絵も描きたいからノート取ってくる!

 タツヤ 上手ハケ

レイ   ああやって、私に依存して、私が少しでも構わないとすぐ怒るんです
     可愛いでしょ?
ミリヤ  ・・・・・
レイ   ああいう風になったらどんなことがあっても優先順位は彼にしないといけませんよ?
     そうしないと、発狂して、心が壊れて、簡単に
     廃人になってしまいますから
ミリヤ  ・・・っ
レイ   それはそれで、楽しいかもしれませんけどね
     では、今度はタツの機嫌がいいときに会いましょう
     もう少しお話できると思いますから

 レイ 上手ハケ

ミリヤ  コウスケも・・・あんな風になるの・・・?
     ・・・いや大丈夫よ
     きっと、コウスケなら大丈夫
     私がいるんだもん
     ・・・先生だって、きっと力になってくれる・・・
     大丈夫・・・

 観測者・シュン 下手から出

シュン  ミリヤ
ミリヤ  ・・・・!
     何?
     まだいたの?
シュン  ・・・コウスケは?
ミリヤ  寝てる
     絶対に会わせないからね
シュン  ・・・わかった
     ・・・お前に話があるんだ
     聞いてくれるだけでいい
ミリヤ  説得でもしにきたの?
シュン  ああそうだ
ミリヤ  ・・・随分と素直ね
シュン  単刀直入に言う
     コウスケを返してくれ
ミリヤ  ・・・・何それ
     それで「はいそうですか」ってなるわけないでしょ
シュン  そうだろうな・・・
     ・・・さっきは悪かった
     怒鳴って・・
ミリヤ  下手に出たら、なんとかなるとでも?
シュン  ・・・俺、お前には感謝してるんだ
ミリヤ  ・・・は?
     何、意味わからないんだけど
シュン  アイツに彼女が出来たって聞いたときは、正直信じられなかった
     碌なコミュニケーションもとれないアイツに彼女?って
     絶対騙されてるんだと思った
ミリヤ  ・・・・
シュン  懲らしめてやろうって思ってさ、でもいざ会ってみたら
     お前普通の女の子で、でも、アイツの良いところをちゃんと見つけて
     好きになってくれて
     良かったって、お似合いだって
     これでアイツも少しは前向きになるだろうって思ってた
     だけど、結果はこれだった
ミリヤ  ・・・・
シュン  別にお前を責めてるわけじゃねぇ
     アイツの意思でもあるのは、本当みたいだったからな
     そうさせちまったのは、俺たち周りの人間のせいだ
     そんな俺たちを見限って、2人だけで幸せになろうって思ったんだろ?
ミリヤ  ・・・そうよ
     あなた達がもっとコウスケを見ていれば、彼はあんなに苦しむことはなかった
     シュンさん、幼馴染なんでしょ?
     なんでもっと早く助けてあげなかったの?
シュン  ・・・すまない
ミリヤ  私に謝られたって・・・
シュン  ああ
ミリヤ  それに、今更よ
     もう施術は終わったんだから
     何もかも遅いのよ
シュン  遅くなんかねぇだろ
     聞いた
     兄貴がここに連れてこられたって人から
     コウスケがここにきてまだ1週間
     今ならまだ間に合うんだろ?
ミリヤ  間に合うって・・・?
シュン  しらばっくれんなって
     忘れた感情を取り戻すことができるんだろ?
ミリヤ  うそ・・・
シュン  ・・・お前、マジで知らなかったのか
ミリヤ  ・・・・
シュン  ちょっと待て
     え、どこまで知ってるんだ?
     このままだとアイツの心が壊れるってことは知ってるのか?
ミリヤ  記憶障害のこと・・・?
シュン  その言葉が合ってるのかはわからねぇけど、精神が衰弱していって
     頭がおかしくなっちまうんだよ
ミリヤ  おかしく・・・・

 ミリヤ 観測者を見る

観測者  人にもよりますが、無理やり心をコントロールしますから
     精神や人格に影響は出ますよ
     まぁ、2人だけの世界で生きていたい
     という人には、何の問題もありませんがね
シュン  あんなの狂ってるだろ
     普通、壊れていく相手を見て喜ぶなんておかしい
     あの女が異常なんだ

 観測者 上手へハケ

ミリヤ  ・・・でも、でもだからって!
     だからって、コウスケをあの現実に戻せって言うの?
     彼、今本当に幸せで、嬉しそうで
     初めてこれからのことが楽しみだってそう言ってるのに?
     そしたら、また苦しむ
     また傷つく・・・
     そんなの駄目、絶対に駄目!
シュン  俺が何とかするから!
     いや、俺だけじゃない
     コウスケは気付いてないだろうけど
     アイツのことをちゃんと見てくれている人は、俺以外にもいるんだ!
作品名:あたたかい場所 作家名:ころん