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連載小説「六連星(むつらぼし)」第31話~35話

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 連載小説「六連星(むつらぼし)」第32話 
「被災地へ」


 「被災地へ行きたい?」

 向かい合った朝食の席で、箸を停めた俊彦が思わず響きを見つめ返す。
2011年の3月11日。東北の太平洋沿岸と関東の一部に、
大きな被害をもたらした東日本大震災から、すでに1年が経過しようとしている。
北関東の桐生市も、まもなく桜が開花をする時期を迎える。
腹部に怪我を負った金髪の英治も、順調な回復をみせている。
今週末にも、退院できるという予定になってきた。

 「退院すれば、伯父さんを探し出すために、英治クンが石巻まで行くの。
 福島へ行くたびに、英治クンだけが残って活動を続けていたのは、
 消息不明の叔父さんを探すためでした。
 田舎への送金が、昨年の年末で途切れてしまっているそうです。
 そのため、いまは元気でいるのかどうか、それが一番の気がかりだそうです。
 もともと誠実で、真面目な性格の方だったらしく、
 叔父さんの送金は、一度も、途絶えたことが無かったそうです」

 「叔父さんの捜索を、手伝ってあげたいということか」

 
 「はい。あいつには、私の代わりに、痛い思いをさせてしまいました。
 組も破門になっているので、いまは事実上の無職です。
 軍資金がありますので、其れが有るうちに探し出しに行きたいと
 あいつが、言ってます。」