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人でなし(?)の世界にて

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 突然パイロットを失った飛行機は、変な角度に傾きながら急降下し始める……。警告音がうるさく鳴り響く。
 副機長がすぐに代わりのパイロットとなったのだが、すでに操縦不能の状態に陥ってしまっていた。不時着は必至だが、下は相変わらずの険しい山脈だ。不時着ではなく、ただの墜落にしかなりそうにない……。もはや死を覚悟するしかなかった……。
 コクピットにいた人々は覚悟を決めた様子で、神への祈りの言葉を唱え始める。リザードマンはそんなことには構わずに、ツメでコクピットの床を破壊し始めた。
 急降下を続ける飛行機。機内の物が床に散らばり、傾斜した床の上を、死体といっしょに滑っていく。

 ――それから1分も経たないうちに、森で覆われた山に激突した……。コクピットにいた人々は、衝撃で前に強く叩きつけられ、肉片と化した……。貨物室にいたリザードマンは、固定が外れた重い荷物と壁に潰される。
 機体は前方から潰れていき、山の木々は倒れていく。折れた枝や岩がジェットエンジンに入り込み、中のプロペラを破片に変えていく。
 残り燃料が少なかったため、機体の爆発はそれほど大きくなかった。しかし、人々やリザードマンの死体をすっかり焼き尽くすのには十分な規模だった。人間とリザードマンが焼ける嫌な匂いが漂う。
 しばらくすると、近辺にいたリザードマンたちが墜落現場に集まってきた。彼らは、自分たち仲間であるリザードマンの無惨な死体を見つけると、大きな鳴き声をあげる。それが、悲しみによる鳴き声であるか、復讐心によるそれであるかは、人間の誰にもわからない……。