小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

人でなし(?)の世界にて

INDEX|39ページ/47ページ|

次のページ前のページ
 

第7章 襲撃



 その深夜、空母の船底付近にある倉庫では、数人の労働者が段ボールを運び出していた。中身は、翌日の朝飯に使う食料で、見張りの兵隊がそばに立っている。
「さっさと運べ! 俺は眠たいんだ!」
目をこすりながら喝を入れる兵士。
 眠たいのは兵士だけでなく、その労働者たちもであった。ただでさえ、先ほどのあのデスマッチで気が冷めてしまっており、いつもより強烈な眠気を抱えている。

   ガリッ! ガリッ! ガリッ!

 倉庫内に響く不穏な音……。反響するその音は、金属を引っ掻くような感じだ……。しかも、その音は止まない……。
「何の音だ?」
「どこかの機械からじゃないか?」
労働者たちは手を止めて話す。すると、それを見たリーダーらしき兵士が、
「おい!!! 誰が手を止めろと言った!?」
と怒鳴った。
「どうせ、どこかのファンが引っかかっているだけだろう! おい、修理係を呼んでこい!」
修理係を呼びに行かせた兵士は、音の出所である倉庫の奥へ向かう……。

 歩いていると突然、あの音が止んだ。だが、それと同時に、水が足元に流れてきた……。
「おいおい、なんで水が漏れているんだ?」
兵士は、水が流れてくるほうへ足を早める。そこは、音の出所と同じ方向だった……。

 問題の箇所はすぐに見つかった。海中を隔てる厚い鋼鉄製の壁に、30cmほどの亀裂ができてしまっている……。そこから海水がどんどん入ってきていた。
「クソ! 何かぶつかったのか?」
亀裂に近づきながら、毒づく兵士。
 その亀裂の前に立った次の瞬間、兵士はその「何か」に身を貫かれてしまった……。
「……ガ、アガ……」
亀裂の向こうから飛び出してきた鋭い刃先が、兵士の背中から生えている……。
 その刃は亀裂の向こうにすぐ戻っていき、兵士の死体がバシャリと転がる。噴き出る血が、床を流れる水を赤く染めた……。

   ガリガリガリ!!!

 耳障りな音とともに亀裂が広がり、大人1人が通れるほどの穴となった……。勢いよく艦内に流れ込む海水……。
「ギャー!!!」
水といっしょの形で、リザードマンが入ってきた……。
 しかも、それはその1か所で起きていることではなく、倉庫内のあちこちでのことだった……。次々に侵入してくるリザードマンたち……。ヤツらを率いているのは、バーナードであった……。