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人でなし(?)の世界にて

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 デスマッチでキャサリンが汗を流していた頃、陸地のオークランドでは、バーナード率いるリザードマンの一団が暴れ回っていた……。ただ暴れているわけではなく、生き残りの人間を駆除して回っていたのだ。
 ひっそりと地下鉄に隠れ住んでいた連中や、大型トレーラーのコンテナ内で息を潜めていた女性などは、闇の中で葬り去った……。頑丈なバリケードによって守られた警察署は、一点を集中攻撃することによって、崩壊へと導いた……。
 負傷させてわざと逃がした生存者は、どんどんリザードマンの仲間入りをしていく。また、地元のリザードマンも仲間にしていった。バーナードの一団は、確実に数を増やしていく……。

 そして、一団は今、散歩気分で都市公園を通り抜けて、スラム街にいる。そこは、アンドルーズとキャサリンが出会ったあの場所だ。
 すっかり日は落ちており、周囲は真っ暗だ。もし停電していないなら、このスラム街も明るさに満ちていたことだろう。
「ギャ!」
どこかを見上げているリザードマンが鳴いた。バーナードを含め、一団全体が、そのリザードマンが見ているほうを見る。
 貧乏臭いアパートの一室から、ほのかな明かりが漏れていた。ロウソクの弱い光だろうが、暗い外からは丸見えだ……。うっかり閉め忘れていたらしく、そこの住人が大急ぎでカーテンを閉める。だが、時すでに遅しだ……。
 バーナードが命令するまでもなく、リザードマンたちは、明かりの元へと急行していく……。アパートの階段を駆け上がる音が聞こえてくる。バーナードは、わざわざ自分が出向くまでもないと思い、その場で待機していることにした。


 電柱に衝突していたSUVに腰を下ろすバーナード。その車は、キャサリンが乗っていたものだ。少しすると、あのアパートから人間の悲鳴が聞こえてきた……。
 車の屋根に座っている彼は、一団の次の目的地をどこにするかを考えていた。なるべく、生き残りの人間がたくさんいる場所がいい。今や100匹以上となった一団のヤツらを満足させるには、そんな場所しかない。

『こちらは空母『ハルゼー』です。生存者の方は、オークランド港のふ頭にお集まりください。軍がそこで救助いたします』

 カーラジオが繰り返している言葉を、バーナードは聞き逃さなかった。彼は少し考えた後、ニヤリとした……。そして、リザードマンたちを呼び寄せる。
 次の目的地が決まったのだ……。