小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

人でなし(?)の世界にて

INDEX|35ページ/47ページ|

次のページ前のページ
 


「キャサリン、今助けてやるからな」
アンドルーズは、クレーンからコンテナに乗り移る。リザードマンの攻撃を避け続けているキャサリンの体力は、もう限界だった。
 空のコンテナの上にいるアンドルーズは、腰からコンバットナイフを抜く。彼の視線の先には、クレーンとコンテナとを結ぶ太いワイヤーがあった。ナイフでそのワイヤーを切り始める彼。


 熱狂に包まれるリング上のキャサリンは、無我夢中で動き回っていた。少しでも動きを止めれば、このリザードマンに殺されてしまうだろう。リザードマンと対峙したのは今回が初めてではなかったが、攻撃を避けるので手一杯だった。
「コイツ、いい加減にしなさいよ!」
 奴の鋭いツメによる薙ぎ払いを、伏せて回避した際に、コンテナの上にアンドルーズがいるのを見つけた。彼が何かしようとしているのはわかるが、それを考えている暇は無い。すぐにきた次の攻撃を避ける彼女。


 大急ぎで切ったかいがあり、ワイヤーはどんどん細くなっていく。あと少しで切断というところで、彼は下のリングを伺う。リザードマンがコンテナの真下にいるところを狙っているのだ。また、彼女にも気を配らなければならない。
「今だ!!!」
タイミングを見計らって、ワイヤーに最後の一撃をくわえるアンドルーズ。
 ブツンという大きな音が響くと同時に、コンテナはリングへ落下していった……。アンドルーズもコンテナとともに落下していく。ちぎれたワイヤーが勢いよく飛び上がって、クレーンにぶち当たり、うるさい金属音を鳴らした。

 コンテナは見事にリザードマンを直撃し、ヤツを押し潰した……。落下の衝撃で揺れるリング。キャサリンは転びかけた。
「キャサリン、大丈夫か?」
コンテナから降りたアンドルーズがキャサリンに声をかける。
「平気よ! こんなヤツ、私一人でも倒せたわ!」
彼女は強がっていたが、感謝の気持ちが言葉に秘められていた。

「何をしている!!! 早くあいつらを捕まえろ!!!」

 貴賓席にいるアーノルドが、マッチョ男や警備の兵隊に怒鳴る。まさかの展開に、昨夜よりも激怒しているようだ……。
 兵隊は一斉に、アンドルーズとキャサリンに銃口を向けた。
「これからどうするの!?」
「……そこまでは考えてなかった」
「じゃあ、ミイラ取りがミイラになっただけじゃない!」
キャサリンのキツイ言葉に、アンドルーズは黙りこむしかなかった……。