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人でなし(?)の世界にて

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第6章 乱入



 アンドルーズは、自分の寝床に戻るとすぐに、キャサリンを探し始めた。友達になりそうだったヒゲ男を感染で失ってしまったので、彼は孤独だったのだ。
 退屈しのぎの話し相手が欲しかったからでもあるが、それよりも彼女の身が心配になったのだ。格納庫で分かれて以来、彼女の姿を一度も見かけていない。

 艦内を探し回るアンドルーズ。もちろん、警備の兵士に怪しまれないようにだ。
 だが、どこにもキャサリンはおらず、人に尋ねても無駄であった。確かに、保護のために別室が与えられている女性が一部いたが、その女たちも彼女の存在すら知らなかった。怪しい展開に、アンドルーズは余計に心配な気分に陥る……。
 とりあえず、今できることはすべてやってしまったので、アンドルーズは諦めるしかなかった……。



 昨晩と同じようにその夜も、人間とリザードマンとのデスマッチが開かれようとしていた……。格納庫内の空気が、どんどん熱くなっていくのを感じられる。
 その一方で、アンドルーズの気分は冷め切っていた……。ただでさえ落ち込んでいる上に、暗い退屈しのぎでしかないデスマッチ観戦を楽しめるはずがない。彼は、夕食まで寝床で寝転がっていることにした。

『レディース&ジェントルメン!!! さっそく、対戦相手を紹介しよう!!! 今回は女性で、名前はキャサリン!!! さあ、じゃんじゃん賭けてくれよ!!!』

 デスマッチの解説者がそう発した途端、アンドルーズは飛び起きた……。そして、一直線にスタジアムへ走っていく。もちろん、キャサリンがリザードマンと戦うのを見物しにいくわけではなく、彼女を助けるためだ。


 スタジアムの観衆は、昨夜と同じく熱狂していた。まるで人の命が懸かっていることなど、気にも留めない様子で……。
 アンドルーズは、このデスマッチの運営をしていると思われる一角へ向かう。解説者が熱弁が振るっている場所だ。隣接する貴賓席には、アーノルドとマッチョ男の姿があった……。
「おい何の用だ!」
だが、その場所を守っている兵士に止められてしまった……。
「彼女を戦わせるのはやめろ!!!」
「ダメだ! 彼女は犯罪者だ!」
「いったい何をしたんだ?」
「大統領閣下に暴力を振るったそうだ」
「何かの間違いだ!」
根拠は無かったが、ここは庇うしかなかった……。
「いいや。目撃者もいる。ほら、さっさと立ち去れ!」
仕方なくその場を後にするアンドルーズ。