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人でなし(?)の世界にて

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 そんな試合の一部始終を、アンドルーズはただ呆然と見ていることしかできなかった……。面白半分なネット動画は観ていたものの、実際に観た途端、固まってしまったのだ。

「ギャーーー!!!」
リザードマンは雄叫びをあげる。勝利の声をという感じだ。
 すると、観客の中からフライドチキンなどの食べ物が投げ込まれる。それをリザードマンは大喜びで平らげていく、どうやらわざと飢えさせて、攻撃心を増長させておいたようだ……。
「これであのリザードマンは9連勝だな」
ヒゲ男は感心気に呟く。
 どうやら、このような試合にもギャンブルがあるらしい……。そして、レートが低いものの、ヒゲ男は今回の賭けに勝てたらしい。
 たまに、人間がリザードマンに勝利するときもあるが、たいていは感染者となっており、その場ですぐに処刑されるそうだ……。

 試合結果を見届けた人々のうち、リザードマンの勝利に賭けた者たちは、リングで食事を取るヤツに賞賛を送る。それ以外の人々は、リングの警備に当たっている兵士に、そのリザードマンを駆除するよう迫る。だが、大事な「選手」を殺すことはできないと、兵士は拒否している……。

 そんな光景を眺めていたアンドルーズは、なんともいえない不快な気持ちに陥る……。食欲を完全に失い、夕食を食べたくなかった。そこで彼は、足早に寝床へ戻ると、再び眠りについた……。



 格納庫で試合が繰り広げられていた頃、キャサリンはある部屋の中にいた。
 その部屋は、まるで高級ホテルのような部屋であった。部屋の真ん中には、大きなダブルベッドが置かれている。ここは、空母の来客用の貴賓室のようだ。
「まあまあいい部屋ね」
フカフカのベッドの上で、部屋を見回しているキャサリン。

 それから少しすると、アーノルドという名前のあのデブ男が部屋に入ってきた……。
「やあ、お嬢ちゃん。この部屋は気に入ったかな?」
デブ男の口調は、下心丸わかりだった。残り少ない髪の間には、興奮の汗が見える……。
 間違いなく、彼女を自分の女にする腹づもりのようだ……。たぶん、アーノルドは、彼女が男勝りな性格であることなど知らないのだろう……。
 彼女の顔は、たちまち急変する……。

「なに普通に入ってきてるのよ!!! この豚!!!」

 アーノルドは、キャサリンに怒鳴られると同時に、部屋の外へ蹴り出された……。万が一に備えて部屋の外に待機していたマッチョ男は、思わず笑いそうになったが、
「艦長! 大丈夫ですか!?」
尻餅をついている彼を気遣う。