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人でなし(?)の世界にて

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 アンドルーズは、自分の寝床に腰を下ろし、格納庫の薄暗い天井を見上げていた。ひとけが少ない格納庫は、冷たい静けさで満ちていた。
 彼は心の中でふと、自分が動物園の獣になった気がした。鋼鉄で覆われたこの場所は確かに安全だ。ただ、檻の中に閉じ込められてしまったように思えたのだ。

 そんなことをノンビリ考えていると、格納庫の天井裏からプロペラ音が聞こえてきた。天井の裏側は甲板なので、ヘリコプターが着艦したのだとわかる。
 プロペラ音が止んでしばらくすると、格納庫内にたくさんの人々が入ってきた。彼らは、この新首都の労働者として、陸地へ働きに出ていたのだ。食べ物などを調達してくるのだが、リザードマンからの危険と隣り合わせだ……。
 そのせいか、全員が疲れ切った表情を見せている……。肉体的な疲労ではなく、精神的な疲労のようだ……。彼らは言葉少なげに、自分の寝床へ向かう。

「新入りか?」
同い年ぐらいの男が、アンドルーズに声をかける。手入れを怠っているのか、アゴは無精ヒゲだらけだ。
「そうだ。さっき救助された」
「お前も運がいいな。仕事は少しキツイが、ここにいれば安泰だぜ」
ヒゲ男はニヤリと笑いながらそう言うと、すぐ隣にある自分の寝床へ入る。すっかり疲れているらしいその男は、すぐにイビキをかき始めた。

 そこでアンドルーズは、自分も同じように疲れている身であることに気づいた。今日は危機の連続で、気づかないうちに疲労を溜めていたようだ。
「おれも寝るか」
彼はそう呟くと、薄い毛布に身を包み、固い床に寝転がる。やはりひどい寝心地だったが、強烈な疲労感が彼を眠らせる。



「おい! 起きろよ!」
アンドルーズが目を覚ましてみると、あのヒゲ男がいた。
「どうした? 夕食か?」
「それは、あのお楽しみが終わってからだぜ!」
ヒゲ男は、楽しそうに格納庫の奥を指差している。アンドルーズは、眠たそうな表情で、その方向を見た。

 まるでカーニバルでも始まるかのように、大勢の人々がそこに集まっていた。熱気を感じる。
「何かあったのか?」
「スタジアムで試合が始まるんだよ! 始まっちまうから、早く行こうぜ!」
もう少し寝ていたかったが、好奇心に負けたアンドルーズは、ヒゲ男とともに、スタジアムという場所へ向かう。