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人でなし(?)の世界にて

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 そこから海に飛びこむまでの時間は、スローモーションで過ぎ去った。

 アンドルーズとキャサリンが乗る車は、ふ頭から海へ全速力で飛び出し、小型ボートへ向かっていく。リザードマンは、ふ頭ギリギリのところで立ち止まる。海面に勢いよく飛びこむ車と、起きた波にユラユラと揺れるボート。車内に少しずつ流れ込む海水。

 沈んでいく車の中で、アンドルーズはショットガンを発砲し、フロントガラスを粉々に割った。海水が一気に流れ込む。
「早くここから出るぞ!」
「言われなくても!」
アンドルーズとキャサリンは、割れたフロントガラスから車外へ泳ぎ出た。2人とも手荷物があったが、あきらめるしかなかった。
 彼は彼女の手を引いてやろうとしたが、彼女は手を振り払い、自力で海面へ上がっていく。プライドが高い女性のようだ。

 2人が海面へ上がるとすぐに、小型ボートが助けにきてくれた。引き上げられる2人。
 ふ頭ギリギリのところにいるリザードマンたちが、こちらに向けて威嚇している。おそらく泳げないらしく、ヤツらは渋々退散していった。


「大丈夫か? ケガはしていないか?」
発砲した兵士が、アンドルーズとキャサリンに声をかける。大柄な白人男性で、アンドルーズよりもマッチョだ。しかも、階級は彼よりも2つ上だ。
 その声かけは、リザードマンウィルスに感染していないかを問う質問だった。もし感染者なら、この場で排除してしまうという感じだ。
「感染などしていないよ」
「失礼ね!」
そう答えたが、念のための確認らしく、他の兵士がボディチェックをした。プライドが高いキャサリンは、その兵士をキッと睨みつけていた……。

「それでは、我々の船へ案内しよう。今や世界一安全な場所だ」
マッチョ男は、自信満々にそう言ってみせた。