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人でなし(?)の世界にて

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「ギャーーー!!!」
「ギャッギャーーー!!!」

 アンドルーズが、久しぶりに人間との談笑を楽しもうとしたところ、付近のどこかからか、リザードマンの鳴き声が聞こえてきた……。それも1匹だけでなく、何匹もの鳴き声だ。
 ギャングとの戦闘を聞きつけたのだろう。獲物を探しているヤツらが、ここに来るのは間違いない。今度はバーナードもいないので、見逃してはもらえないだろう。
「逃げるぞ!」
アンドルーズはキャサリンの手を引き、自分の車へ向かう。
「ちょ、ちょっと、無理やり引っ張らないでよ!」
彼女は彼の手を振り払う。男性に頼らない生き方をしている女性らしい。
「運転には自信あるわよね?」
「ああ、もちろん!」
彼がそう答えると、彼女は助手席に颯爽と乗り込んだ。

 エンジンをかけっぱなしにしていたので、すぐに発車することができた。アンドルーズの赤いスポーツカーは、スラム街のくたびれた路面を走り出す。助手席にキャサリンのような美女を乗せたのは、妻を亡くして以来は初めてのことだった。
 スピードが出てきたときになって、リザードマンたちが現れた……。10匹以上の群れだ……。半数は道路に現れ、もう半数は建物の中や屋上から現れた。彼と彼女を狙っている。
「舌を噛まないように気をつけろよ!」
アンドルーズは助手席のキャサリンにそう言うと、アクセルを全開にして、車を急加速させた。

 まるでそれが合図かのように、リザードマンたちは一斉に、車に襲いかかった……。道路のリザードマンたちは駆け寄り、建物のリザードマンたちは飛び出してくる。
 道路に仁王立ちするリザードマンを、アンドルーズの車は勢いよく跳ね飛ばしたが、フロントガラスに体が当たってしまい、クモの巣状のヒビが入ってしまう。これでは前が見にくい……。
「もう割ってしまうわ!」
助手席のキャサリンはそう言うと、後部座席に置いていたショットガンを手にし、銃の台尻でフロントガラスを叩き割った。これで前が見やすくなった。ただ、キャサリンの突然の行動に、アンドルーズは驚きを隠せなかった……。
 建物から飛び出してくるリザードマンたちは、そのまま車に飛びかかろうとしてくる。無理やり、車を止めるつもりだ。突然、建物から現れるので、アンドルーズたちはびっくりせずにはいられない。
 ただ、高速で走る車に飛びつけたリザードマンは1匹もおらず、結局は、車の後を追いかけなくてはならなかった。車の後をリザードマンたちが追いかけるその光景は、圧巻かつシュールなものであった……。