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人でなし(?)の世界にて

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「わかったわかった! リザードマンは行けない場所なんだろ? オレは大丈夫だから行けよ!」
そのことを察したバーナードは、気にするなという口調でそう言ってくれたが、寂しさは隠せていなかった。
「……悪い。またどこかで会おうな」
「喋れるリザードマンなんて、オレぐらいだろうからすぐにわかるぜ!」

 そして、アンドルーズとバーナードは別れた。アンドルーズが車で走り去ると、バーナードはゆっくりと町へ向かっていく。



 目的地であるオークランド港は、港湾都市であるオークランドにあった。対岸には、大都市のサンフランシスコがある。
 アンドルーズが住んでいたサクラメント同様、オークランドも壊滅状態に陥っていた……。たちこめる煙のせいでよく見えないが、サンフランシスコも壊滅状態だろう。
 そして、このオークランドの観光名所であった大きな鉄橋は、感染者の移動を食い止めるために爆破され、海に崩れ落ちていた……

「…………」
予想できていたことだが、目の前の悲惨な現実を目の当たりにしたアンドルーズは黙りこむしかなかった。

 救助地点であるオークランド港へ向かうために、オークランドの街中を車で走る。サクラメント同様、オークランドの街中も荒れ果てており、歩道を走る必要があった。ただ、静けさはあったが、サクラメントのそれとは少し違っている。何というか、戦闘態勢という空気を感じられる……。これは軍人である彼の勘だった。もしかすると、生き残りの人間がいて、リザードマンと戦っているのかもしれない。
 かすかな期待を胸を抱いた彼は、車を走らせつつ、周囲をさらによく見回している。リザードマンに発見されないよう、どこかに隠れているかもしれない。

 港にも通じているメインストリートを走っていたが、前方にあったもののせいで、車を止めざるをえなかった。
「……まったく。あと少しなんだけどな」
メインストリートの幅いっぱいを、積み上げられた車がぎっしりと塞いでいたのだ……。車が縦に5台ずつ積み上げられており、バリケードの壁として使われていたようだ。しかし、これでは、車が通れない。
 ここで車を乗り捨て、この壁をよじ登ろうと考えたが、壁の上に有刺鉄線が張ってあるのを見て断念した。服が引っかかって動けなくなり、そこをリザードマンに襲われでもしたら、あの世で笑い者になる。
 とにかく、ここは回り道をする必要があるので、メインストリートから離れることにした。