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人でなし(?)の世界にて

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 車の中で考えていると、道路を勢いよく走る音が聞こえてきた。人間が走る音ではないことは、すぐにわかった……。
「しまった!!!」
バックミラーを見たアンドルーズが叫ぶ……。

 道端のどこかにいたらしい1匹のリザードマンが、アンドルーズの車の後方に急接近していたのだ……。殺気むんむんで、鋭いツメを振り上げている。
 彼は車を急発進させたが、何本かのツメがトランクに突き刺さる。金属がきしむ音が鳴り、彼の車は走る方向を狂わせた。そして、運が悪いことに、すぐ近くの放置車両に正面からぶつかってしまった……。前方は車に塞がれ、後方はリザードマンに塞がれている形だ。
 しかも、騒ぎを聞きつけた先ほどのリザードマンたちが、こちらへ駆け寄ってきている。まさに万事休すであった……。このまま車を捨てて逃げても、ヤツらに追いつかれてしまうだろう。

 ……だが彼は諦めなかった。ショットガンを後ろのリアウィンドウに向けて、そのまま発砲する。そこには、トランクにツメを立てているリザードマンがいた。
 近距離だったことは幸いし、散弾のほとんどがリザードマンに命中する。しかも頭部に当たっており、リザードマンの頭の前半分が潰れた。リザードマンはツメを立てたまま息絶える。
「ギャーーー!!!」
その鳴き声は、死んだヤツの断末魔ではなく、ゲーテッドコミュニティ内にいたヤツらによるものだった。開け放たれたままのドアを通り抜け、アンドルーズの車へ一直線に向かっていく。数匹分の足音が鳴り響く。
 焦る気持ちを抑えつつ、ギアをバックに入れ、思い切りアクセルを踏み込むアンドルーズ。
 しかし、車の後ろで死んでいるリザードマンがジャマになり、バックができない。目の前の車と前後を挟まれてしまった形だ。何度もハンドルを切り返せば、ここから抜け出せるだろうが、そんな時間など無い……。

 とうとう、リザードマンたちの先頭にいたヤツが、アンドルーズが座る運転席のすぐ横までに来てしまう……。間髪もいれずにヤツは、鋭いツメで運転席のドアをもぎ取った。うるさい金属音を立てて、アスファルトを転がっていくドア。もはや、彼の身を守るものは無い……。他のリザードマンたちは、車を取り囲んでおり、逃げ道も無い……。
 彼は再びショットガンを構えたが、リザードマンがツメでそれを弾き飛ばしてしまった……。武器を認識できるほどの頭がいいヤツらしい。
 彼は拳銃も持っていたが、とうとう落ち着きを失ってしまい、ホルスターからそれを抜くことができなかった。
 ヤツは、彼に鋭いツメを突き刺そうと、右手に力をこめていたが、そこでピタリと動きを止めた……。