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悠里17歳

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11 宴のあと



「サラ、ありがとうな、制服」
「どういたまして」
「いたまして、って……」
 生徒会室に戻るなりお兄ちゃんとサラはしてやったりの表情でハイタッチしている。
「ビックリするよ、何の連絡もなしに出るなんての、しかもそのカッコウ」
 サイズは違えど私と同じ制服を来た兄を指差した。元々ゴツゴツした男っぽい感じじゃない上、中途半端に顔が私と似ているから余計に恥ずかしい。わざわざ私と同じフレームの眼鏡まで用意している――。
「同じやるならインパクトあった方がおもろいやん、な、サラ」
「そうそう。『同じするならトコトンまで』ってやつ?」
 敢えて口にしないけど、制服を貸したサラもグルなのは間違いない。
「晴乃ぉ……」
「ゴメン、悠里。あたしも知ってたの」
同情を求めて晴乃の顔を見ると、両手を合わせて謝っている、何も知らされてなかったのは私だけだったのか。
「ルノちゃんが『兄妹爆似』の話したので思いついてん。意外とはまっとうやろ?」
私は冷やかな笑顔を見せるしかできなかった。
「やった甲斐があったよ。なかなか良かった、悠里の顔」
 私にそっくりのお兄ちゃんは私の肩を叩いてニコッとした。誉めるのはそこじゃないし、そのカッコウじゃ説得力ゼロだよ……。
「ま、会場の雰囲気良かったし、精巧な作戦は成功なんちゃう?」
「そんなダジャレ聞きたくなかった……」それに兄の作戦は精巧なんかじゃない。昨日ちゃんと前フリを仕込んでいるのを思い出した。気付かなかった私が甘かったというのか。
「それで、どうでしたか?私たち」
 晴乃は横で腕組みをして大木のように立っていたMMに質問した。このライブの結果が私たちのこれからを左右するのだから。
「どうよ倉泉」
「俺は、エエと思うよ。きょうだいとか、そういう問題抜きにして」
「やったぁ――!」
 それはそれで「エエよ」と言われると、さっきまでの兄へのダメ出しなどすっかり忘れ、私たち三人は肩を組んでハドルを作りその場で回り出した。

 ところが――。
 喜びもつかの間、生徒会室の和やかな空気は遅れてやって来た千賀先生が緊張したそれへと変えた。
「大変や、倉泉」いつもと違う表情で部屋に入って来た。ステージ横ではしてやったりの顔が少しひきつっている。
「何が?」
「何が、ですか?」
倉泉と呼ばれて二人同時に返事をする。
「教頭が……」
 先生が言い終わらない内に学校一厳しいことで専ら知られている教頭先生が千賀先生の後ろに竹刀を肩に当て、眉を寄せて立っている――。

作品名:悠里17歳 作家名:八馬八朔