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悠里17歳

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7 サイコロの側面



 今日はお婆ちゃん孝行と、先日ステファンとキムが私をもてなしてくれたお礼に私はお姉ちゃんと一緒に道場を訪ね、稽古のあとに日本風の食事を振る舞うことにした。近くに大きなスーパーがあって、日本と同じような食材は手に入る。献立はお姉ちゃんと相談して決めた。和食といって思い付いたのが魚料理だったけど、アメリカは大陸の国だけあって日本ほど新鮮な魚は手に入りにくい。なので、スーパーで手頃な鶏肉を見つけ、照り焼き風に仕上げることにした。これならアメリカ人の舌に合うかな。あとは味噌汁とサラダ、炊飯器がないのでお米は鍋で炊いてみたけど、これも上手く出来た。
 お姉ちゃんは聖郷のお世話で厨房を離れ、結局は私とモニカ叔母さんと協力して完成、珍しいのかキムは興味津々でカウンター越しに私の手の動きを見ていた。
「家ではどんなものをよく食べるの?」
 とキムに聞いたら
「冷凍のピザとか、レンジで調理するだけのやつ」
と答えて周囲の失笑を誘っていた。モニカ叔母さんの目が笑っていない。
「日本の料理がそんなに珍しい?」
 キムはなぜか私をずっと見ている。さっきの冷凍食品生活は大袈裟な冗談だろうけど、調理をするのが珍しいのかと聞くとキムは首を横に振った。
「悠里はレフティなんだ」
「えっ?」よく見るとキムの視線は私の左手にあったことに気付いた。なんだ、料理のことじゃなかったのか。
「そうだよ。動きが可笑しく見えるかな?」
「ううん、全然。」 
 左利きは珍しがられるし、時には疎ましく思われる時もある。なのにキムの自然な反応になぜか親近感を覚えた。
「アメリカはレフティがいっぱいいるの?」
 これは完全な偏見だけど、日本よりはこっちの方が左利きは多そうなイメージが言葉に変わった。
「そんなことない、たまに見かける程度よ。日本ではどうかわかんないけど」
「それ以上にこの国は様々な人がいるから、レフティが珍しい訳じゃないんじゃない?」
最後にモニカ叔母さんの説明で私の偏見は溶け去った感じがした。
 篤信兄ちゃんの話では、左利きが全体の一割くらいなのは古今東西変わらないという研究結果があるそうだ。左利きであることは日本と同じで珍しい存在ではあるけれど、そもそも合衆国の社会では人種も言葉も様々なので、特段に目立つものでもない。なので強いて言えばここでは日本よりも左利きに寛容だ。変わった存在としてでなく、目が青い、肌が黒い、髪がウェーブしているといったような一つの特徴としてみてくれる――。

作品名:悠里17歳 作家名:八馬八朔