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悠里17歳

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13 悠里がいたから



 今は母と二人で住んでいる小さな文化住宅「桜花荘」、二人でも決して広いとは言えない2DKに以前は姉と兄を足して四人で住んでいた。私が六年生の時の夏、両親が離婚したことで近くの一戸建てを引き払いここへ越してきた。父は故郷のカリフォルニアへ戻り、それから姉は篤信兄ちゃんと結婚し、兄は東京の大学に進学し、それぞれ神戸を離れて行った。
 元住んでいた家を引き払い、倉泉家の記録が完全に分断されてもうすぐ六年になる今日、この家にかつて住んでいた二人が戻り久し振りに四人で食卓を囲んでいる。あの時はこれが日常だったけど今こうしていると部屋が急に狭くなった感じだ。 

「久し振りやね、こうしてこの家でみんな集まるの」
 お母さんは嬉しそうに自分の子供たちを見ている。前にきょうだいが揃ったのはアメリカで私の誕生日を祝ってくれたこないだだけど、あの時はお母さんがいなかった。四人が揃うのはいつ振りだろうか。
「ホンマやねえ、四人が揃うのって」
「母さんが呼んだから戻ってきたんやんか」
お母さんの横に座っているお姉ちゃん、その正面にお兄ちゃん。私はみんなに熱いお茶を出して、お兄ちゃんの右隣に座った。
 母倉泉昌代の子供たち、長女の朱音、長男の陽人、そして次女の私。年の差が大きく、きょうだい三人とも髪の色や目の色がお母さんと少し違うけど、みんな同じ父親でこのお母さんのお腹から生まれてきた。お姉ちゃんには聖郷という三歳のかわいい男の子がいるが、今日はご主人様である篤信兄ちゃんの実家、西守医院に預かってもらっていて、そしてお腹にはもう一人、数十日後に誕生する赤ちゃんがいる。
「朱音、陽人。二人ともごめんね、遠いところからはるばる――」
「いやあ、エエよ。こっちも予定があったわけやし、なぁお姉?」
「それより話ってなあに?お母さん」
 お兄ちゃんが答えるとお姉ちゃんも頷いた。お姉ちゃんは日本に帰ってくる大きな理由があったけど、お兄ちゃんの予定って文化祭ライブに乱入することでしょ、ってツッコミ入れようと思ったけどそんな雰囲気ではないのでお兄ちゃんの腕を叩くだけに留めた。
「朱音、陽人、悠里。ちょっと言っておきたい事が、あるのよ」
 お母さんはきょうだい一人一人の顔色を確認すると、湯呑みを両手に抱いてうつむいた。私に似て、引っ込み思案のお母さん。私たちは急かすことなく母が話し出すのを見守った。

作品名:悠里17歳 作家名:八馬八朔