雨と匂い
ひとしきり笑った後で、ふと冷静になり
「ねえ、傘どうすんの?帰れないじゃんー」
詩織の傘も壊れ、この雨もやみそうにない
どうしたものか、と愛羅は考え込む
「うーん、後は教務課で傘を借りるしかないかな・・・」
「はあ!?」
「あるよ、卒業生が忘れてった傘の貸し出し」
予想以上に早く問題は片付いてしまった
「それあるならとっとと言ってよ、こんな小さい傘で濡れなくて済んだじゃん、もー」
「えー、だって...」
「何?」
「愛羅と相合傘出来るなんてレアじゃん!?」
「・・・は?」
不意にさっきの距離感と緊張を思い出して、愛羅は赤面した
「まあ、とりあえず教務課閉まる前に傘借りてくるよー」
そう言っていつの間にか上履きを履いた詩織は、教務課へと走って行った
(ああ、もうなんで女相手にドキドキしてるんだよ)
愛羅は、更に赤面して考え込む
(あんな、近くでぎゅっと身体を寄せて歩くなんて、何か恋人みたい・・・、いやでも!詩織は!そんな・・・)
(詩織、いい匂いしたなあ、なんでこんなにドキドキが止まらないんだろ・・・)