熱中症?
まだ起きそうにないので二度目、三度目と水を飲ませていると、
「詩織!愛羅は大丈夫!?」
いつの間に休憩の時間らしい
キャプテンの佐和子がこっちにやってくる
やばい、と慌てて離れてそっと愛羅の口元を拭った
「うーん、意識が無くってさ・・・」
「ええ、そうなの!?水は飲ませた?」
あ、どうしようこれは
でも口移しの事は言えないけど・・・
「ああ、まあ、ね・・・」
「そう、でも起きないんだ、愛羅、大丈夫?」
と佐和子が愛羅を揺すると、ゆっくりと目を開けた
おいおい、乱暴にしてやるなよ
「んー、あ・・・」
「もー愛羅ってば!倒れるまで無理するからだよ、詩織が運んでくれたんだからね?」
「ほんとだよ、休めって言ったのに。頭とか痛くない?」
すると身を起こそうとした愛羅は顔を顰めて
「・・・頭痛い」
と、また横になってしまった
「そっか、暫く休んでなよ、とりあえず休憩時間だから詩織そばにいてあげて。」
それだけ言うと、佐和子はみんなの方に行ってしまった
愛羅はまだぼうっと何処かを見ている
そういえばさっきの愛羅、いい匂いしたなあ
ていうか本当に唇柔らかかったなあ
なんて思い出しているとなんだか愛羅が可愛く思えてきてしまって、つい頭なんて撫でてしまっていて
「・・・何?撫でてんの?」
「え?何か、可愛いなーって」
「・・・頭痛いし、詩織の手、汚れてるじゃん」
なんて顔を顰めて私を睨む
「分かったよー、でも水飲みなよ、もっといっぱい」
「う、うん・・・」
一瞬、たじろいで愛羅の目が泳いだ
どうしたっていうんだ
「うん、そうする」
何でだろう、愛羅が私の目を見ない
熱中症の頭痛がまだ酷いのだろうか
顔も赤いし
本当に今日は日差し強いなあ
「愛羅さ、無理しちゃだめだよ、ああやって倒れるんだから」
「別に、大丈夫だと思ったんだよ」
「でも意識失うくらいだったじゃん、佐和子が起こすまで寝てたし」
「ああ、うん・・・」
「おーい!休憩終了ー!」
その時丁度休憩が終わったらしく、佐和子の掛け声でみんなはグランドへと戻って行く
佐和子が戻りがてら、
「詩織ー、練習戻るよ!」
「うん!愛羅はどう?」
「うーん、まだ頭痛い」
「じゃあ私は戻ってるから、これそうになったらおいで」
私はそう言い残して練習に戻った
その離れる瞬間、私はずっと愛羅の手を握っていたことに気がついた
ああ、可愛いなあ