猫の髭は七つの夢をみる
オレの自慢の髭は、はらり はらりと抜け落ちて あと一本。
あとは、産毛のようなオレの生活に支障をきたさない程の髭が生えているだけだ。
おいおい ななつっていったぞ って?
そんなに 容易くオレさまの自慢の髭を引っこ抜かないでくれよ。
七本目の夢は、とっても大事なんだ。
オレのこれから。もしかすると オレの最期になるかもしれない。
でも、まだオレは 投げ出してはいないさ。
あの仔猫たちの将来もみたい。カノジョとだって もっといちゃいちゃしたいしな。
それとも オマエの一大事に助けになれるかもしれない。
あの住処の人とも もっと関わっていきたいと思う。
夢は ななつじゃ少ないな。
でも、夢だと思えるものに出会えるってことは 素晴らしいことだ。
ななつだって 幾つだって それを思うことが大切なんだな。
おっと、また らしくないことを言ったようだ。
オレ様は猫だ。
「にゃあ」
それだけでいいんだ。
七本目の自慢の髭の話は またいつか オマエと出会った時のために取っておくさ。
オマエも いい夢みてくれよ。 じゃあな。
― 了 ―
作品名:猫の髭は七つの夢をみる 作家名:甜茶