初恋はきみと
「おじいさんと出会って、子どもをもうけて、かわいい孫と一緒に暮らせている。不幸など一つもなかった。あなたがいて、わたしは幸せ。これからずっと、死ぬまでずっと、幸せです」
ふ、と子どもみたいな笑みを零す瑞。ああ、変わっていないと佐里は思う。娘だった頃から、ずっとそばにいたこの式神。不器用な優しさと、心の深いところに隠されている純真無垢な魂。この儚い光のような心が、ずっと佐里を照らし続けてくれている。
「なら、いいよ」
温かさの宿らない手を握ったまま、佐里は微笑み返す。瑞も笑っている。
あなたは、どう?
幸せ?
わたしたちはあなたのために、何が出来たかしら。
――問うまでもない、と佐里は思う。
「伊吹のおかゆって、なんかどろどろなんだよなあ・・・」
この嬉しそうな顔が答えだと、佐里は信じているから。
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