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漢字一文字の旅  紫式部市民文化特別賞受賞作品

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14―2 【百】

 【百】、下部の「白」は白骨化した髑髏(しゃれこうべ)の形だとか。
 その上に「一」が乗っている。それがなぜ100になるのかわからない。

 だが(ひゃく)という読み、それは「白」(はく)からきてるそうな。
 そんな【百】、「年」が付いて『百年』。
 「百年の恋も一時に冷める」
 「悪妻は百年の不作」
 あまり良い意味では使われていない。だが、江戸時代末期の幕臣、勝海舟は好んだようだ。
「大人物は百年に一度しかあらわれない」と言い放った。

 確かにそうだが、これって、自己評価……ってこと?
 また1860年、咸臨丸(かんりんまる)の艦長として遣米使節団に同行し、ホワイトハウスへ。そして、大統領に通商条約批准書が渡った時、達観した言葉を吐く。
「百年の後に知己を待つのだ」と。

 この意味は、百年後に答が出るのだということ。
 ならば百年後の1960年、その結果はどうなったか?
 TVのカラー放送が始まり、森山加世子さんは「ティンタレラ・ディ・ルナ♪」と……、まことにアメリカ風平和一色となった。

 ことほど左様に、かっての日本人は『百年』がお好きだったようだ。
 1901年の正月。百年後の予言が報知新聞に載った

 西暦2000年には……
  無線電信及電話
  遠距離の写真
  暑寒知らず
  鉄道の速力
  自動車の世  等々

 いろいろ予言されたが、ほとんどアッタリー!
 だが、中に外れたものも。
 「蚊および蚤の滅亡」
 蚊なんて、今もおりますがな、ブーンブンと。

 「人と獣との會話自在」
 ワンちゃんが寒い寒いとワンワン吠えてるのに、腹巻きさせて、小雪舞う中、引きずるようにお散歩に。 
 これって、会話なんてできてないよな、ウ〜、ワン。

 いやはや、【百】という漢字、とにかく話題に事欠かない漢字なのだ。