小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

漢字一文字の旅  紫式部市民文化特別賞受賞作品

INDEX|89ページ/269ページ|

次のページ前のページ
 

13―2 【龍】

 【龍】は、【竜】の字の方が古く、中国神話の動物の姿を表す。
 それをより複雑かつ厳かにしたのが【龍】だとか。

 2012年の干支は【龍】。そんな【龍】を三つ集めた一文字漢字。
   龍
  龍龍

 これは【龍】の歩く様で、(トウ)と読む。
 そして、その上に「雲」を被せれば、
      雲
     雲龍雲

 これで一文字であり、八四画。総画数が一番多い漢字だ。
 読みは(たいと)もしくは(おとど)。
 これは人名だそうだ。

 1960年代に、一人の男が証券会社に現れた。そして、名刺を差し出した。
 そこには……
      雲
     雲龍雲

 この「たいと」の名前があった。
 古今東西、この一件だけが確認されている。

 その後、このオジサン、どうもホントに「雲」の下に隠れてしまったらしい。いわゆる雲隠れってことかな?

 さてさて、そんなお騒がせな【龍】、いつも手にしている玉が――如意宝珠(にょいほうじゅ)だ。
 意のままに願いを叶えてくれる龍玉、いわゆるドラゴンボール。

 欲しいものだが、龍は決して手放さない。
 なぜなら、龍は転生する前、人間だった。その一杯の煩悩がそこに封じ込められてあるからだ。

 そんなドラゴンボール、人間に渡したら、再び煩悩が飛び出してきて、何をしでかすかわからない。危なかっしくって……。 

  角は鹿、頭はラクダ
  眼は鬼、身体は蛇
  腹は蜃(はまぐり)で

  背中は鯉、爪は鷹
  掌は虎、耳は牛
  長髯で、背に八一枚の鱗

  そして、喉下には一尺四方の一枚の逆鱗(げきりん)が

  秋になると淵の底に潜み、春には天に昇る
  また啼き声で嵐を呼び、竜巻となり天空に昇り
  自由自在に飛翔する

 そんな爬虫類? いや、【龍】が申しておりますが、夢は自分で叶えろ! と。
 おいおい、つれないぞ!

 やっぱり欲しいなあ、如意宝珠の――【龍】玉が。