漢字一文字の旅 紫式部市民文化特別賞受賞作品
11―4 【探】
【探】、穴の中で火をかざしてものをさがす意味だとか。
歳を重ねてくると、毎日探し物の山だ。
常に未発見物三、四点は抱えた状態で、とりあえず暮らしている。
ならば、探し物が今すぐに出てくるアクションは何だろうか?
調べてみれば、そのアクションは三つあるとか。参考に紹介しておこう。
(一) 呪文「にんにく、にんにく」と唱えながら、探すこと。
小悪魔が悪ふざけで隠している。
だから、嫌いな「にんにく」で嫌がらせをし、
白状させる、という方法。
(二) 井上陽水の「夢の中へ」
♪ 探し物は何ですか、それより僕と踊りませんか ♪
と歌って、探す。
要は歌って、小悪魔を油断させておいて、見つけるという方法。
(三) ドラえもんに頼む
『なくし物とりよせ機』をポケットから出して、
どうも貸してくれるらしい。
これを使って、探し物をとりよせる。
世間では、これが一番人気らしい。
このような三方法だが、我が経験からすると、にんにく呪文で七、八割の探し物発見実績がある。
しかし、天下のマーフィーも探し物には随分苦労したようだ。
マーフィーの探し物の法則では
(1) 探し物は、一番最後に探す場所で見つかる。
(2) 最後に探す場所で見つかるというわけではない。
最初に探したのに、一回目では発見されないだけだ。
さらに居直ってしまって、
(3) 失くしたものを見つけるには、新しく買えばいい。
いずれにしても【探】、穴の中で火をかざして、ものをさがす意味。
そんなの、やっぱりそう簡単には見つからないぞ。
作品名:漢字一文字の旅 紫式部市民文化特別賞受賞作品 作家名:鮎風 遊