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漢字一文字の旅  紫式部市民文化特別賞受賞作品

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10―4 【青】

 【青】、上部は「生」で、草の生え出る形であり、青々と茂っている様。また下部は「丹」で、顔料の青丹。
 いずれも青色ということだ。

 そんな【青】、昭和三〇年頃、菅原都々子(すがわらつづこ)さんは……
 ♪♪ 月がとっても青いから 遠まわりして帰ろう ♪♪ と歌った。

 これは日本人の感性。確かに月が青く見える時がある。
 しかし、それが西洋となると「blue moon」(ブルームーン)。
 彼らにとってブルームーンは、滅多にないこと。
 「once in a blue moon」(ワンス・インナ・ブルームーン)、こんな熟語があるが、意味は「決してあり得ないこと」を言う。

 だが、これが火星となると随分と変わってくる。
 ここでの夕焼けは少し奇妙。
 火星の昼間の空は赤い。そして陽が落ち、夕焼けとなると【青い】のだ。

 理由は、火星の大気がほとんど二酸化炭素。そこに酸化鉄の微粒子が一杯。
 昼間はその散乱で赤く、太陽が地平線に傾くと、赤色が飛び散り過ぎて、青色だけが目に届くからだそうだ。

 ♪♪ 夕焼け小焼けの赤とんぼ ♪♪
 この歌は、どうも地球だけの歌。
 火星では青焼けで、♪♪ 夕焼け小焼けの 【青】とんぼ ♪♪ と歌詞が変わる。

 いずれにしても、我が生活は四苦八苦の身、
 ♪♪ 助けて 助けて 【青】色吐息 ♪♪ と、火星に行かなくとも――【青】一色なのだ。