漢字一文字の旅 紫式部市民文化特別賞受賞作品
5―4 【裏】
【裏】、元の意味は衣の「うら」のことらしい。
そんな【裏】、いろいろと格言がある。
人生には良いことも悪いこともあるという意味で、「一の裏は六」。だが実際にはその目がなかなか出てこない。
また株式相場では、「人の行く裏に道あり花の山」と言われ、逆張りのお薦めだ。そう言われてみても、現実はそう簡単に儲かるものではない。
しかし、誰も見たことがない【裏】がある。
それは太陽の【裏】。つまり太陽に隠れた後方の世界。
古代ギリシャの人は、そこにまったく同じ地球があると唱えた。なぜなら地球がバランス良く公転するためには、てんびんのようにカウンター・ウェイトが必要。
それがいわゆる反地球(カウンター・アース)。
そしてそこには同じ社会があり、同じ自分がいると言う。
だが、いつも太陽に邪魔されて見えない。
まさに、「一の裏は六」。どちらが表で、どちらが裏なのかわからないが……。
ところで、あちらの地球では、あちらの自分が……、やっぱり売れない小説書いて、それでもくじけず、頑張ってるかな?
作品名:漢字一文字の旅 紫式部市民文化特別賞受賞作品 作家名:鮎風 遊