漢字一文字の旅 紫式部市民文化特別賞受賞作品
5―3 【鳳】
【鳳】は、大きな鳥が風に乗り、羽ばたきをする様を表す漢字だとか。
そして、『鳳凰』(ほうおう)と言う熟語を作る。
この鳳凰は、雄が【鳳】で、雌が「凰」の鳥。梧桐(ごとう)、つまりアオギリに宿り、竹の実を食べ、甘い味のする醴泉(れいせん)を飲んでいると言う。
また、立派な指導者が世に出てくる兆し、それがある時に、その祝いの時に現れ出てくる鳥だとか。
さらに、この鳳凰、たとえそれが成鳥でなく、雛(ひな)でさえ、「伏龍鳳雛」(ふくりゅうほうすう)と言って重宝がられている。
この四字熟語の意味、寝ている龍と鳳凰の雛のように、まだ世に出ていないが素晴らしい力を持つ人物のことらしい。
そして、最近の日本の不景気を思えば……、どこかに鳳凰は飛んでいないだろうか?
それともアオギリの上の巣の中に、雛でもいないものなのだろうか?
とにかく、その霊長の姿は……、見たことのある人の言によれば、次のようなものだとか。
羽は五色
前は麟(りん)、後ろは鹿(しか)
頸(くび)は蛇、尾は魚
背は亀で、あごは燕(つばめ)
そして、くちばしは鶏、だとか。
大層奇抜な姿だから、すぐに見付かりそうなものだが……。
作品名:漢字一文字の旅 紫式部市民文化特別賞受賞作品 作家名:鮎風 遊