漢字一文字の旅 紫式部市民文化特別賞受賞作品
4―2 【車】
【車】、中国古代の戦争は馬車で戦う車戦。二頭の馬がそれを引っ張ってた。
【車】という字は、その車体に左右の両輪を付けた形を表しているとか。
そして、現代の中国にもいろいろな【車】がある。
ただ、日本と少し違うようだ。
日本の自動車は汽車。
汽車は火車で、自転車は自行車。愛車は私人車と言うらしい。
少し外れるが、日本での愛人は中国では情人と言うらしい。
ならば、愛車を「情車」と呼べば良いものを……、不思議だ。情と私人の間に、何か微妙な差があるのだろうか?
そして、庶民が困る車が――「火の車」。
元は、生前悪事を犯した者をこれに乗せ、地獄へと運ぶ火の車のことだとか。
今は、お金のやりくりに苦しむことを意味してる。
そして、もう一つ嫌な車が――「口車」、こんな車には乗りたくない。
だが中国では、この「口車」という言葉がないようだ。
多分、パクリと同様で、「口車」が一杯走っていて、日常的で当たり前。そのため、「口車」とういう概念が形成されてこなかったのかも知れないなあ。
作品名:漢字一文字の旅 紫式部市民文化特別賞受賞作品 作家名:鮎風 遊