漢字一文字の旅 紫式部市民文化特別賞受賞作品
37―4 【偽】
【偽】は人偏に「為」。
この「為」は「手」と「象」を表し、【偽】は人が象を手なずけるさまを表しているとか。
ここから人の作為により姿形を変える意味だとか。
したがって【偽】(にせ)という言葉には従来変化だけの意味で、悪い意味はなかった。
しかし、最近世間は大騒ぎ。一流レストランの当事者側はメニューの誤表示だったと主張を繰り返すが、それは偽装だと問題となっている。
その一例がバナメイエビを芝エビとメニューに書いていた。
バナメイエビの仕入れ値は1キロ1400円、芝エビは2500円、倍ほどの価値に偽っていたということだ。
バナメイエビはクルマエビ科、体長200ミリメーターほどでメキシコからペルーの東太平洋の海洋で獲れる。またタイやインドネシアで養殖され、大量に輸入されている。
食感はプリプリ、日本人好みだ。
一方、芝エビは同じクルマエビ科、体長は150ミリメーターまで、内湾の泥底に生息する。食感は……、うーん、食べたことがないので、わからない。すいません。
いずれにしても、「海老で鯛釣る」でなく、「海老で客釣る」ということか。
それにしても【偽】という文字が、右部の「為」は象ではなく、エビに見えてくるから不思議なものだ。
作品名:漢字一文字の旅 紫式部市民文化特別賞受賞作品 作家名:鮎風 遊