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漢字一文字の旅  紫式部市民文化特別賞受賞作品

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37―3 【非】

 【非】、左右に歯が並んだすき櫛の形だとか。
 うん、確かにこれはわかり易い。そして昔、この櫛を非余(ひよ)といった。

 それがなぜ「あらず」の否定の意味になったのだろうか?
 一説によれば、【非】は左右互いに背を向けいるから。そこから「そむく」→「あらず」に。

 そんな【非】、非常識、非公開、非常勤などいろいろな熟語を作る。そして最近よく使われる四字熟語が「是々非々」(ぜぜひひ)。
 正しいこと(是)は正しい、正しくないこと(非)は正しくないと認める意味だ。

 しかし、正しいとしていることが最初から間違っていたら、これは……えらいこっちゃ。「是非非是」という反対バージョンの四字熟語があっても良さそう、と老婆心ながら思ってしまう。

 そして【非】、他の漢字と組み合わされて「罪」、「悲」、「扉」などと多くある。
 さてさてここで、魚に非ずの「鯡」って、何?

 そう二つに身を裂いて食べる「二身」 →→ ニシンなのだ。
 で、なぜニシンは魚に非ず?

 アイヌの人たちはニシンを米だと言い伝えた。
 また米の獲れない貧しい江戸時代の松前藩、年貢はニシンだったそうな。
 だから、ニシンは魚に非ずであり、「鯡」の漢字になったとか。

 とにかく【非】という漢字、他の字と組み合わさって歴史をも背負ってきたことになる。