漢字一文字の旅 紫式部市民文化特別賞受賞作品
3―5 【犬】
【犬】、「大」の字の右肩に点を打って(いぬ)と読む。
不思議だ。なぜ、こんな字体で「いぬ」なんだろうか?
そうならば、「小」の右肩に点を打って、(ねこ)と読めば良いものなのだが……。
調べてみれば、【犬】、これでもどうも象形文字だとか。どうして「いぬ」の姿形(すがたかたち)が、【犬】になったのかがわからない。
右肩の点は何なんだろうか?
それは尻尾だとか、寄生している蚤だとか……、無鉄砲にも言い放つ輩までいる。
そんな【犬】だが、犬の日は11月1日。
なぜなら、「1,1,1」――ワンワンワンと3回吠えたから、だって。
そんなぁ〜! と叫びたくなる。
だが、随分と人間がお世話になってきた「お犬様」。
そうならば、11月1日に、亡くなった「お犬様」の成仏を祈り、大文字焼きの向こうを張つて、右肩に一つ火を点し――象形文字・【犬】文字焼き――を始めてみてはどうだろうか。
ウ〜 ウ〜 ワン! 苦しいかな?
作品名:漢字一文字の旅 紫式部市民文化特別賞受賞作品 作家名:鮎風 遊