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漢字一文字の旅  紫式部市民文化特別賞受賞作品

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3―6 【情】

 【情】、その字は「心」と「青」から成る。
 「青」は草木が茂る色であり、元々の有様のことを言うらしい。したがって、【情】は人の心にある元の有様のことだとか。

 だが、こんな【情】に、強い対抗馬が存在する。
 それは「愛」だ。

 こんな【情】と「愛」、どこがどう違うのだろうか?
 侃々諤々(かんかんがくがく)の議論を生むところだ。
 一般的には、心の向かって行く方向が違うと言われている。
 「愛」は、好きだからこそ相手を解放して上げたい、そんな許す気持ちになって行くのが基本だそうだ。
 一方【情】は、相手を縛っておきたい、また導きたいという独占の方向だとか。

 なぜかいつまでも別れずにいるカップル。女は時として切れる。
 そして、「あなたへの情はあるけど、愛はない」、こんな捨てゼリフを吐くものだ。
 要は心根からの、独占だけはしておきたいという【情】の発露、そうではないかと思えてくる。

 一方、男の方も実に身勝手で、フランスの詩人、アンリ・ド・レニエは言う。
「男がもっとも情を込めて愛している女は、必ずしも一番愛したいと思っている女ではない」と。
 これはきっと、男にとって実務的、いや便利な、そんな女の方に、「愛」以上の【情】を抱くものなのかも知れない。 
 一番愛する女より手放せないものだ、ということだろうか?

 そんな【情】、それはまさに「愛」を凌駕(りょうが)するほど強いものなのかも知れない。