漢字一文字の旅 紫式部市民文化特別賞受賞作品
3―4 【石】
【石】、これは「厂」で表される崖に、「口」(いしころ)が転がっている様を象形にした漢字だとか。
そのためか、石の大きさは岩より小さく、砂より大きいのが常識。
だが、それとは異なった例がある。
それは「蛇石」(じゃいし)と呼ばれている【石】だ。
今から435年前、織田信長は安土城の築城を開始した。
その時、蛇石と呼ばれる100トンの石、それは岩より大きい石が安土山山頂に引き上げられたとか。
だがその作業の最中に、山から一度転がり落ち、何百人の人夫を圧死させたと伝えられている。不幸なことだ。
そして現代、そんな大きな蛇石を、歴史ロマンを追い掛ける人たちが必死になって探している。
だが見付からない。なぜなのだろうか?
しかし、そこには伝説がある。
山頂にそびえ立つ天主は、高さ46メートルの7階建てだった。
そんな巨大な天主を支えるために、それはその地下に埋められたとか。だから見付からないのだと言い伝えられている。
本当かどうか、一度掘ってみたいものだ。
あれば……流石(さすが)!
流石流石と…【石】だらけの、声があがることだろう。
作品名:漢字一文字の旅 紫式部市民文化特別賞受賞作品 作家名:鮎風 遊