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漢字一文字の旅  紫式部市民文化特別賞受賞作品

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30―3 【剛】

 【剛】、「岡」と「刀」の組み合わせ。「岡」は堅い鋳型であり、鋳込んだ後に「刀」で裂き割ることだとか。
 だが堅くて、それは容易なことではない。そこから「かたい、つよい」の意味になったそうな。
 ほう、そういうことかと納得してしまう。

 そんな【剛】、自然界で最も硬いのが「金剛石」、ダイヤモンドだ。炭素の結晶で、炭素原子がしっかりと共有結合している。モース高度で10。そのため切削や研磨の工業用途でも重宝されている。

 だが「金剛石」はやっぱりダイヤモンド、高価な宝石だ。ブリリアントカット(58面体)され、永遠に光り輝く。
 大粒のものは4C、つまり色(カラー)、透明度(クラリティ)、カラット(重さ)、カット(研磨)で評価され、値が付く。

 その値段は目が飛び出るほど高く、庶民には到底手が届かない。1カラット(0.2グラム)のダイヤモンド、直径6.5ミリの粒となる。それが、少し良いものだと100万円が相場だとか。とんでもない話しだ。

 しかし、こんなダイヤモンドより高価な石が発掘された。それは「パライバ トルマリン」という石。1989年にブラジルで初めて発見された。
 神秘なブルーの蛍光色を放つ珍しい鉱石らしい。産出量が少なく、たちまちダイヤモンド以上の値が付き、「幻の石」と言われるようになった。

 そんな石に一度お目に掛かってみたいものだが、それにしても金【剛】石に強敵が現れたのだ。

 そんなブルーの「パライバ トルマリン」、もし和名を付けるなら「青剛石」となるのかな?
 いや、【剛】ではちょっと可笑しいかな?
 蛍光色だから「青蛍石」で、どうだろうか?