漢字一文字の旅 紫式部市民文化特別賞受賞作品
3―2 【鶻】
【鶻】、「骨」の横に「鳥」がいる。
この漢字を読める人は、そういないだろう。
「骨」の「鳥」だから、うーん、そうそう焼鳥屋の(てばさき)、思わずそう読んでしまいそうだ。
だが、正解はもっともっと格調高い。それは(はやぶさ)と読む。
はやぶさは鳥で、「隼」とも書く。
直線的な飛翔で、獲物を見つけると翼をすぼめ急降下。そして強烈な足蹴りキックで一撃し、捕獲。
なんとカッコイー鳥なんだろう。
東北新幹線、東京から青森まで時速300キロで走る最新鋭のE5系、それは「はやぶさ」と名付けられているとか。
ファーストクラスのグランクラスまで備えられ、お酒は飲み放題。
そんな高級新幹線の名称、それはあくまでも平仮名の「はやぶさ」であって、決して骨の鳥の【鶻】にはなり得ないのだ。
しかし、もしも、もしもの話しだが、新幹線「はやぶさ」に、手羽先の入った駅弁、【鶻】弁当が出現したら……、きっと旅は、愉快なものになるだろう。
作品名:漢字一文字の旅 紫式部市民文化特別賞受賞作品 作家名:鮎風 遊