漢字一文字の旅 紫式部市民文化特別賞受賞作品
20―2 【素】
【素】、糸を染める時、もとのところを結んだまま染め液に浸ける、その形が【素】だとか。
そして、もとのところだけが白い糸で残る。それが【素】ということらしい。
これに「元」を頭に付けて、「元素」という熟語になる。
そうです、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウム、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、ネオン、ナトリウム……
受験生にとっては、「水兵リーベ僕の船そーだ間がある競輪行こう縁がある」……の元素です。
この元素の名前、最初の方はみんなが注目している。
しかし、これが終わりの方になってくると、どやねんと言いたくなるんだよなあ。
111番目は ウンウン ウニウム。
113三番目は ウンウン トリウム。
115番目は ウンウン ペンチウム。
117番目は ウンウン セプチウム。
最後の118番目は ウンウン オクチウム。
ウンウンのオンパレードなのだ。
元素も110個以上発見すると、「またかよ、邪魔くさいのう」となって、ウンウンと頷いて登録しただけだと噂がある。
実はこのウン、ラテン語の「1」で、後は111とか113の数字を言い、どうも仮称のようだ。
例えば、最近、111番目のウンウン ウニウムはレントゲニウムに改名されたとか。
それにしても、「ウンウン」と頷くだけの元素たち、ちょっと可愛いかな。
作品名:漢字一文字の旅 紫式部市民文化特別賞受賞作品 作家名:鮎風 遊