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小悪魔メフィとファウスト博士

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夢の攻防


「ハァハァ…やっと見つけたぞ」
「げ、なぜ私の居場所がバレたんだ…」
「家を完全放棄なんて出来るわけないからどちらにせよ一度は戻って来ると確信してたんだが、まさか家にずっといたとはな。まんまと騙されたぜ。でもまぁこっちとしては見つかって良かったよ。フッフッフ。」
(くそ…もう2度とここには来ないと思ってたのにとんだ誤算だった…‼︎)
「何度も言うように、俺はお前の話には乗れない。」
「なぜ断る?断る理由がないじゃないか」
「だとしたら断らない理由もないはずだが?」
「ちっ…ま、ともかく、おれはお前を勧誘し続けるよ。どんな手を使ってもね。」
「お前…!何するつもりだ⁈」
「別に何もしないさ。俺はただお前と一緒に冒険したいだけなのだから。」

「そういえばここ数日この家の側に張っていたが、やけに何度もこの家の周りをうろうろする女がいたな。お前の知り合いか?」
「まさか俺が何か言うとでも?」
「いや、それもそうだな。情報は時に命より重い。そう簡単に言うわけないか。」
「とにかく迷惑だ。誘いは断る。地獄巡りなら一人でするんだな。」
「本当に興味ないのか?」
「もっと大事なものがある。」
「両方望めば良いじゃないか」
「それはできない」
「お前の望みはなんだ?」
「平凡だよ。普通の平凡と幸せ。それ以上には何も望みはない」
「つまらない人生だな」
「俺はそれが最高だと思っている。」
「価値観の違いってやつか。でも変だな。
誰よりも平凡なお前が、なぜ知的好奇心を求めているんだい?
そこに矛盾を感じるな。」
「机上の好奇心だけじゃ平凡は壊されない」
「俺の誘いはお前を壊すと?」
「そうだ」
「そんなこと言っていいのかな。
俺は天邪鬼だぜ。お前ももうよく分かっているだろう?」
「守って見せるさ」
「せいぜい頑張れよ。俺はお前を遠慮なく壊しに行くぜ。なにせ俺の理想…いや、夢と言った方が格好つくかな、がかかっているのだから。
お前を必ず地獄に叩き落としてやるさ。」
「勝手にしろ。俺は絶対崩れはしない。」
「そう言ってられるのも今の内だぜ。
じゃあまたな。」

悪魔は去って行った。
俺が本当に求めてるもの…いや、守りたいものは何だろう…そんなことを繰り返し考えていてしまったせいで、また今夜も不眠となってしまった。
全く、あいつ程の疫病神は今まで出会ったことがない。悪への自信…と言ったら変だが、あの迷いのなさだけは少し尊敬する。
いや、本当に少しだけだが…。
果たしてこれからどうなるのか
俺は一体どうしたらいいのか
次は何を仕掛けてくるのか…
全く、偶然にしても俺は運が悪い。
なにせ悪魔に気に入られてしまったのだから。
はぁ…ため息が止まらない夜であった。