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ろーたす・るとす
ろーたす・るとす
novelistID. 52985
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便利屋BIG-GUN2 ピース学園

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 すぱっと一月借りて臨時事務所とした。何かあったらジムたちも来ることもあろうが、普段は俺一人だ。女子高生も連れ込み放題。
 しかし今日はそんな暇も無い。俺は鍵つきのケースから装備を取り出す。
 最初は愛銃ベレッタM84。ベレッタと言えばアメリカ軍が正式採用したせいで大型のM92が有名で映画でもよく見かける。しかしベレッタ社は昔から小型の護身拳銃が得意で性能もさることながら、その美観も代々定評がある。貴婦人が持ち歩くにはやはりエレガントなデザインで無ければいけなかったのだろう。
 M84はベレッタの王道とも言うべき拳銃である。
380ACP弾を使用する中型拳銃で装弾したまま安全に持ち運べる安全装置と素早く発砲できるダブルアクションシステムを備え、コンパクトボディでありながら13発もの装弾数を誇る。加えて伝統どおりのエジェクションポートの無い銃身むき出しの美しいイタリアンなボディ。
 護身用拳銃の傑作と言えよう。
 こいつをショルダーホルスターに予備弾倉2本と共に収める。
 次に光増幅型暗視鏡「スターライト・スコープ」。
 その名の通り星明り程度の光でも増幅し視界を確保する暗視鏡だ。ゴーグルになっていて装着しても両手がふさがることは無い。赤外線暗視鏡と違い、普通に物を見ることが出来るのが長所だ。
 最後にBIG-GUNの活動服に着替える。白いデニム地のこの服は裏側に強化プラスチックのプロテクターと防弾素地ケプラーを仕込んだ優れものだ。肩に俺達のエンブレムのワッペンも張ってあって格好もいい。夏用は脇の下や腕の内側がメッシュになっていて暑苦しくも無い。
 戦闘準備が整ったところで出撃だ。
 本当は三郎にバックアップを頼みたかったのだが、連絡がつかなかった。会社に電話してみると留守番のジムが出て
「他の仕事が入った」
と、告げた。地元FM局からの出演依頼だと。市内のイカス男の話を聞くコーナーらしい。
 ならばどう考えても出るのは俺だろ?!
 などと文句言っても始まらない。俺は仕方なく今の仕事に取り掛かることにした。
 目指すのはピース学園、北の倉庫。つまり瀬里奈らがたむろっていた場所だ。
 瀬里奈達は侵入者を警戒していた。俺が現れると突然襲ってきた。いくら不良グループでも異常な行動だ。 何だお前は…… と胸倉つかむくらいが普通だろう。
 瀬里奈もやけに俺を遠ざけようとしていた。
 つまり奴等には人に知られたくない秘密があるのだ。
 それが今回の松岡の頼みに関係していると俺は睨んだ。
 勘…… としか言いようが無いが俺は自分の直感を信じる事にしている。だから確信となるまで調査する事にした。
 昼間のうちに監視カメラの位置やガードマンの数は確認している。所詮学校だ。侵入するのはわけない。  辺りに人がいなくなったのを確認してひょいと塀を越え倉庫へ走る。途中監視カメラは一つしかない。塀に張り付けば死角に入れた。
 倉庫に到着すると思ったより辺りが明るいのに気づいた。
 この倉庫は高等部の北の外れにある。
 そのさらに北側には中等部があり、一番南側つまり倉庫の裏は寮になっていた。寮だから夜中でも生徒が生活しており明かりが少しこちらに届いているのだ。
 スターライトスコープは光増幅器。したがって全く光が無い所では効果が無い。わずかだが光が必要なのだ。この寮からの光は俺にとっては好都合だった。光があるとは言ってもむこうからこちらは見えまい。仕事に影響は無い。
 さあ、急いで仕事にとりかかるか……
 のんびりしている暇は無い。
 と、寮から大勢の女の子の声が聞こえた。ふむ…… 女子寮か。何故かエコーがかかって聞こえる。む…… 水をかける音も混じっている。ふむふむ大浴場か…… なるほど。
 向こうからこちらが見えないなど何故解る。それは油断では無いか? 念のため確認しておいた方がいいではないか。
 急がば回れと昔から言う。松岡もそんな事を教えてくれた。
 というわけで俺は中等部女子寮を確認する事にした。
 バックパックからスターライトスコープを取り出し装着。匍匐前進。森の中をゆっくりと進んだ。
 たやすく進めた。赤外線センサーはもとより柵すらない。
 こんな事で乙女の純潔が守れるのか?! 義憤に駆られつつ俺はなお真相にたどり着くため進む。
 寮の建物が近くなった。大浴場は離れにあるらしく時折女生徒が渡り廊下を行ったり来たりしている。と、言ってもこちらは森の中に這い蹲っており長い雑草や観葉植物が邪魔で女の子の顔までは見えない。
 なにくそと頑張って渡り廊下にある水呑場の後ろまで到着した。ステンレス製の大きな流しで6本の頑丈な足で支えられている。渡り廊下にしか明かりは無いから草むらに伏している俺は暗くて見えない。そもそも暗闇の草むらなんかに眼をやるやつはいない。まして俺は水呑場の後ろにいるので覗き込みでもしない限り死角になっている。
 明かりがあるのでスターライトスコープは必要ない。一端頭の上に跳ね上げる。何人かの女の子が目の前を通っていく。校内ゆえ全員体操着姿だ。最近はブルマーではなくスパッツが採用されている。なんでブルマー駄目だったのかね。
 水呑場の足の間から覗いているのでこちらからも足しか見えない。不満といえば不満だが、いやしかしこれはこれで……
 堪能したので、さらに調査を進めよう。大浴場のほうに移動しよう。とっとと行こう。
 と、その時視界に一際白くて細いおみ足が入ってきた。
 サイズからして背は低い。1年生だろうか。息を殺す。気配を消す。だが。
 あんよはてくてくと歩み寄り何故か水呑場の前で止まった。こっちに方向転換する。水の音。なんだ、水飲んだだけか。入浴前の水分補給はこの時期とても重要だ。
 と、突然ふわりとややウェーブのかかった金色の長い髪が降りてきた。屈みこんでこちらを覗き込む。
「あ」
 エメラルドグリーンの大きな瞳が俺を見つめた。
 なんて感のいい野郎だ。
「ケンちゃん?」
 悲鳴でも上げるかと思ったが、いぶかしげに質問してきた。
「なにしてんの?」
 見つかった相手がこいつだったのは幸か不幸か。
 人知を超越した力で俺を発見した娘は、この間ボディーガードした娘、セーノ・ジュン・ローランドだった。

「悪党通り越して遂に覗きに成り下がったわけ?」
 さすがにジュンの声は冷たかった。まあ夜中に女湯の側で暗視鏡使って匍匐していれば言い訳も難しい。
 ジュンは金髪エメラルドアイなアングロサクソン。丸顔で童顔、ちょっと目には小学生に見えるがれっきとした中学生。13歳のはずだ。
 特筆すべき点はやはり容姿だろう。
 誰が見ても可愛らしいと思えるお人形のようなルックス。瀬里奈は和風な美人だがジュンはロリ系な可愛さだ。ロリ系と言っても幼児体型ではない。すらりと長い手足も細いボディも勿論まだ未成熟だが女の曲線を描きつつある。幼い顔と合わさると何とも言えないセクシーさを漂わせている。150に満たない身長以外は。
「今、私の身長を見てたでしょ」
 じろっと可愛い顔で睨む。身長はこいつのコンプレックスなんだろう。
「足とか胸見てるよりいいだろう」
「足は今見てたじゃない。何してたのよ、本当に」