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ろーたす・るとす
ろーたす・るとす
novelistID. 52985
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便利屋BIG-GUN2 ピース学園

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 一夜あけ、俺は今日も元気に高校生である。
 前日部屋に爆弾仕掛けられようが教会前で銃撃戦しようが知ったことではない。校門には小森と会長が立っていた。
 週番? 仕事熱心なことで。
「昨日は大騒ぎだったそうだな」
 二人そろってこちらを睨みながら言った。お寺の門にいるよね、こういうの。
 おはよーござーまー、と何事もなかったかのように素通りしようとしたら、やはり呼び止められた。
「災難でした。まさか爆弾仕掛けられた事に関して文句言わないでしょうね先生」
 小森は顔をしかめた。
「爆弾仕掛けられるような事をした覚えは?」
 ありすぎてどれの事やら。
「さぁ、恨みはよく買う人間ですからねぇ」
「この学校にいて欲しくないタイプの人間だ」
 会長が冷たく見下ろしている。やはり…… こいつの敵対心は尋常ではない。あんたには恨まれる覚えは無いぞ。
「合法的に俺を退学させられるならやってみる事です。なに一ヶ月でいなくなる人間です。お互い我慢しましょうよ」
 すると会長は鋭い目をさらに細くした。
「一ヶ月もお前がここにいたら…… この学校は大変な事になる。そんな気がするよ」
 気のせいであることを俺も祈るよ。
 俺は失礼シマースと校門をくぐった。
 
 おはよーと教室のドアをくぐるとクラスメートたちは一斉にこちらを振り返った。真っ先に駆け寄ってきたのはバスケのメンバー。玉田達だった。
 昨日の爆弾騒ぎはすでに学校中に知れ渡っている。
 大丈夫なのかという連中の問いに平気平気とにこやかに答える。マンションは今朝はまだ立ち入り禁止になっていたらしいが午前中には解除されるそうだ。署長が言っていたんだから間違いない。
 瀬里奈は今朝も登校していて席に着いていた。ちらりとこちらを見たが知らん顔して外に視線を戻した。
 そういえば昨夜もおやすみメールを返信してくれなかった。冷たい奴め。
 米沢さんはこっちに来たそうな顔をしていたがちょっと瀬里奈の方を見て自重したようだ。
 まあ隣の席なんだから来なくてもすぐ話は出来る。
 俺は人だかりを掻き分け席に着くと何事もなかったかのように「心配かけたね」と当たり障りのない事から切り出してみた。彼女はぎこちなく首を振って笑ってくれた。
「瀬里奈と揉めてたみたいだけど?」
 米沢さんはちらりと瀬里奈を見た。瀬里奈は相変わらず外を見てこちらには興味ない振りをしてやがる。
「風見君に近づくなって」
 俺は小学生みたいなことをと苦笑して見せた。
「危ない男だから近づくなって言ってくれたのさ。現に爆弾騒ぎがあっただろ。瀬里奈は俺がどういう人間か多少知ってるのさ」
 米沢さんはそうなんだ…… とつぶやいて顔を黒板側に戻した。
 横顔の唇が動いて独り言を言った。声は聞こえなかったが。
 デモセリナノコトハセリナッテヨブンダ。
 そう読み取れた。

 その後瀬里奈とは会話はなく俺達バスケチームは昼休み、放課後に練習で汗を流した。
 野村はバスケの戦術にも詳しく各員の動きを見て戦術も立ててくれた。チームの基本は俺をエースとして俺のドリブル力を活かす事。そのために青木と自分が俺にボールを集める。俺にさらに力を伸ばすためフェイントや変わったスローのやり方も教えてくれた。面白いし今度うちで3on3やるとき三郎に勝てるかもしれん。ちと練習に励むとするか。
 他の三人は別行動で練習していた。玉田の身長を生かすため、やつにパスを送り玉田はそれを即シュートする練習。最初はうまくいっていなかったが、そこは若さだ。徐々に決まるようになってきていた。これは…… 思ったよりいけるかもしれん。
 練習が終わり米沢さんは購買部にジュースを買いに行ってくれた。さて…… チームの親睦を図るのならやはりこの話題しかあるまい。
「確認しときたいんだが。お前ら本当のところ米沢さん狙いなの?」
 全員が照れ笑いした。
「まぁ一応」
 と、青木、増田、石井が手を上げた。
「米沢さん確かに可愛いけど、大勢で狙いにに行くほどか?」
 俺は勿論ジョーク気味に言う。
 野村が返した。
「じゃあお前抜けてくれよ。お前が一番目がありそうなんだから……」
 ここで笑いが起きたのでみんなそれほど真剣というわけではあるまい。うまくいったら嬉しい…… くらいか。
「積極的には行かないよ? ただ向こうが来る分にはわからんが」
「お前もそんなにもてるのかよ!」
 また一同笑った。
 玉田が恥ずかしそうに手を上げた。
「僕…… 松岡さんでもいいなぁ」
 一瞬の沈黙。全員が口を揃えた。
「無理」
「なんでだよ!」
 そこへ我等がマドンナの帰還である。
「何話してるの?」
 急速に打ち解けていく我々の輪に入りたいようである。
「誰から米沢さんをデートに誘うか順番決めてたのさ」
 青木が軽口を叩いた。真実からそうは離れていないな。
 米沢さんは「え?」と顔を赤らめたがすぐに冗談だとわかり「私面食いだからね」と返してくれた。
 ジュースを一同に配っているときポケットから何かが落ちた。えぼし丸のマスコットだった。俺のと色が違う。
「落ちたよ?」
 声をかけると彼女は慌てて拾い上げた。
「それ、人気あって売り切れてるんだってね」
 声をかけると少し硬い笑いをして頷いた。
「そうらしいわね。私人気出る前に手に入れたから…… 風見君のガールフレンドも欲しがってたわね」
 この一言に男共が食いついた。
「なんだよ彼女いるのかよ!」
 米沢さんはいたずらっぽく笑って続けた。
「いるのよ、会ったもん。金髪で緑の目のものすごく可愛い子」
 あいつ彼女ちゃう。言い訳する前に連中は襲い掛かってきた。妬みって怖いなぁ。それでもまあ、こういうバカ騒ぎはひさしぶりだった。悪くは無い。

 マンションに帰り夜となった。瀬里奈一味との約束の時間だ。誰も来ないでくれると助かるんだけど。
呼び鈴が鳴った。連中だ。全員そろってやがる。
 中に入れると瀬里奈が口を開いた。
「こいつら、やっぱりやるそうだ」
 ばかの集団か。
 俺はわざと厳しい表情を作り威圧的な声で言った。
「死ぬかもしれないぞ。いいんだな」
 瀬里奈を含めて全員こわばった顔になったがそれでも力強く頷いた。
「やる気だけは買うが…… お前ら射撃とか格闘技の経験は?」
 学校で年一回くらいは護身術の講習がある。しかしこの手のやつらが受けているかな? また受けていたところで本物のやくざには通用しないだろう。
「ねーさんに格闘技少し習ってる」
 アスカがおずおずと手を上げた。ねーさんとは瀬里奈の事だろう。瀬里奈は即座に否定した。
「あんたのは実用レベルじゃない」
「お前は親父さんに習ったのか?」
 瀬里奈は顔を背け「ああ」と答えた。
「実戦で使っていいと言われたか?」
「逃げる時間くらいは稼げるって言われた」
 うん、ならお前は大丈夫だな。