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海野ごはん
海野ごはん
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あなたとロマンス2

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彼女の言うとおり車を走らせ街の郊外に出ると、あたりは暗闇に包まれた。
カーステレオからはお気に入りのストーンズ。
二人だけの花見にしちゃ音楽がノリノリだ。
彼女が指差す方向にハンドルを切り、やがて山の麓へ。

「こんなとこに一本桜があるん?」
「シィ~・・・」
別に静かにしなくてもいいのに彼女は唇に指を当てて言う。
僕も笑いながら黙ったまま、彼女の指差す方向に走らせる。
ついでに音楽も消した。

あたりが真っ暗になってきた。
車のヘッドライトで照らす道は田舎の田んぼ道のようだ。
やがて小さい駐車場のような広場が見えた。

「ここで車を止めて」
僕は明かりがまったくない山の中の広場で車を止めた。
エンジンを切るとシンとして虫の声だけが辺りに聞こえた。

「降りよう。。。ここから歩いてすぐだから」
彼女は先にドアを開けると僕を先導した。
少しアルコールが入った僕はいい気分で砂利道を歩く。
闇夜に慣れてくると意外と月の灯かりが明るく、まわりが見えてきた。
彼女もまたいい気分なんだろ、先にたって歩いている。
そして鼻歌なんか歌ってる・・・。

「どこまで歩くんだよ~」
「もうすぐ・・」彼女は楽しそうに答える

大きな木や草むらを抜けて細い道が続いていた。
やがて少し上り坂になり、月夜の道を酔った足取りで進んだ。

「ここっ!」
彼女は小さい丘を登った所で、月夜に向かって指を指した。
そこには樹齢100年をとうに過ぎてる桜が一本だけ、月明かりに揺らめき薄桃色の花びらを満開にしていた。
見事な光景だった。
先ほど登った緩やかな坂道は、桜のすぐそばにある池の堤防だった。

枝振りも凄く、いくつもの枝が池に向かって伸びている。
そして、月明かりに照らされた湖面に白っぽい桜の花の枝が映りこんでいた。

「わぉ~」思わず感嘆の言葉が出る。

シンと静かな夜と波紋のない池の湖面。堤防の上にある桜は湖面にも咲いていた。

「へぇ~ こんなとこがあったんだ」僕が聞くと得意そうに
「地元では有名なの」と笑って言った。
「ねえ こっちに来て」と彼女が言う方に向くと、
場違いのようにパイプ椅子がひとつあった。
きっと、どこかの誰かが見物用に置いて行った椅子なのだろう。

彼女はそこに座ると手招きした
そして両膝をあげて、僕から見たらスカートの中が見えそうないやらしい格好をした。

作品名:あなたとロマンス2 作家名:海野ごはん