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海野ごはん
海野ごはん
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あなたとロマンス2

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「桜の下での秘密」







彼女とはお酒の仲だった。
やたら日本酒が強くて意気投合して毎晩飲み歩いた。
お互い仕事をしてたもんだから会うのは夜しかない。

いつものバーでお互い泥酔。
ミッキーロークの映画 「バーフライ」じゃないが
カウンターにへばりつくハエのようなものだった。
バーのカウンターは淋しい男と女にはしごく居心地がいいもので、
目の前のアルコールが天国への切符となっていた。
丁度、季節は春。近くの公園は満開の桜。
どこかのグループの嬌声に舌打ちして、静かなバーの扉を開ける。
気持ちのどこかで「桜の下で宴会したい」と思いながら、
「あんな おっさん達の集まり・・」と言って斜めに構える僕がいた。

彼女はすでにカウンターでいつもの酒。
挨拶もそこそこに乾杯して夜の宴のスタートを切った。
いろんな常連が出たり入ったりの忙しい夜だった。きっと桜で浮かれてるんだろう。

彼女とは3ヶ月以上ここで飲みあい、顔見知りになっていた。
「今年は花見するの?」と僕が聞くと、
「団体行動が嫌だから、ひとりでいい」と彼女は言った。
「言えてる・・・」僕も相槌を打つ。
「二人きりは大丈夫。四人ぐらいならまだいいかな」
あれこれ気を使う団体行動は僕も彼女も苦手だった。


「花見したくない?」ポロッと本音が出る。驚いた顔で彼女は僕を見て、
「・・・いいよ」と言った。
「みんなが帰った深夜の公園で飲もうか」
「いいかもしんない・・・」
「どっか好きな場所ある?」
「う~~ん、一本桜のある池のそば。そこに行ってみたい」
「どこよ それ・・・?」僕は聞いた。
「秘密の場所だけど 山ん中」
「近いの?」
「車で30分」
「じゃ 今から行ってみようか」と二人、喧騒を後にして店を出た

作品名:あなたとロマンス2 作家名:海野ごはん