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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章   11話   『十人十色』

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「ありも大ありさ~なっはっはっは~!この俺が指揮を取れば花見の会場がすぐさま萌え空間…いや、メイド喫茶に早変わりだぜッ!!」

「おぉ~☆メイド・イン・花見☆か、完璧だ…☆」

かえではまたしても目を輝かせて何かを見据えていた。…わけわからん。
って何だ、何だ?何やら話がおかしな方になってないか?
というか、今まで何の話をしてたんだっけ?

「お~何だか面白そうな展開になってきたね~☆な、春斗?」

「いや…俺は、だんだん不安になってきた」

「あたしも…」

どうやらこの中で真ともな思考回路をしているのは、俺と茜のようだ。
あぁ…よかったぜ。俺たちだけでも常識人がいて。
これでもし俺たちが、こいつらと同じ思考だったらと思うと……あぁ、考えたくない。

「さて、俺の出る幕がないっていうその妙案とやら聞かせてもらおうか」

凍弥は、余裕の表情でニヤリと笑ってみせる。

「それで、一体何をするつもりなんだ?」

「よくぞ聞いてくれた!それはだな……」


-キーンコーンカーンコーン


「(が~ん)!!!」


帰りのHRのチャイムが鳴り、休み時間の終わりを告げた。

「とうとう運にも見放されたみたいだな」

「暁ももう終わりか、とことん哀れなヤツだった」

「あたし…暁のこと…忘れないからな…ぐすぅ」

「って俺を勝手に殺すなああああぁぁぁ!!」

「そうだよな~『あれ』の哀れっぷりはダテじゃないからな」

「哀れ言うな!っていうか俺のことを『あれ』呼ばわりするとは何事かぁッ!!」

暁は、いつものように暑苦しいオーラを纏い、怒りを露にした。

「言葉のあやだ、気にしない~気にしない~♪」

「って気にするわぁぁあッ!いいか、茜、男っていうのはな……ぐはぁッ!!」

「ほら、東條、いつまでも馬鹿やってないで席に着け」

本鈴の少し後に、俺たちのクラスの担任が手刀で暁の脳天を叩いた。

「それじゃ、花見の時間はこっちで決めて後で連絡するな~」

凍弥はそう言うと自分の席に戻っていった。

「ねぇ、ハルちゃん」

「ん?何だ、冬姫?」

席に戻ろうとしていた俺に冬姫が小走りで近寄ってくる。

「お花見のことだけど、明日香ちゃんにもちゃんと教えてあげてね。明日香ちゃんも誘ってあげたらきっと喜ぶと思うから」

「あぁ、そういうことね」

でもまぁそうだな、明日香に教えてやったら飛び跳ねて喜ぶだろうな。その光景が目に浮かぶぜ。

「わかってるよ。帰ったら明日香にもちゃんと伝えておくよ」

「うん、お願いね~。私は、後で帰りにまどかちゃんを誘ってみるよ~」

「おう。んじゃ俺からまどかちゃんに大歓迎だって伝えておいてくれ」

「うん。わかったよ~伝えておくね~」

俺らのマスコットのまどかちゃんが来ないことには花見に華がないからな。
花見をするにも癒しは必要だからな。これ鉄則。

「それでね、ハルちゃん。あの娘はどうするの~?」

「ん?あの娘とは?」

「あの娘だよ~ミナちゃんのお知り合いさんの初等部の女の子」

「あ、あぁ…」

…あぁ、あいつね。すっかり忘れてたぜ。

「あいつはいいだろ。きっと週末はいろいろと予定入ってると思うしさ」

「そうなの~?それは残念だね~。あの娘とももっとお話してみたいな~って思ったのに」

「…あはは。そ、そうだな。残念だな~あはは」

ホントは誘いたくないだけなんだけどな。
あいつを誘ったらきっとまた良からぬことが起きそうなんでな。それだけは絶対避けたい。
俺がそう考えていると、担任が教壇に立って名簿を叩きながら、

「それじゃ~帰りのHRを始めるぞ~!席に着け~」

そして、みんなも自分の席に戻っていき、帰りのHRが始まったのだった。





「それじゃ連絡は以上だ。HR終わり、委員長、号令」

クラス委員長の号令でようやく今日1日の学園生活の幕が下り、終わりを告げる。

「うーん…。眠いなぁ~ふぁ…」

HRが終わると、俺は早速大きく伸びをし、軽く欠伸をするのであった。

「ふぁ~ぅ…。眠い~」

かえでも机に突っ伏しながら、眠そうな目で大きな欠伸をする。

「おい、お前ら揃いに揃って何シケた面してんだよ。もう帰りのHRも終わったんだから帰ろうぜ」

「いやね、そうしたいのは山々なんだが…なぁ?」

俺は、かえでに同意を得ようと視線を向ける。

「ねぇ?」

かえではゆっくりとこっちを向き、そして、眠そうな目をしながらそう答えた。

「…お前らなぁ。何でそんなに眠くなるんだよ。お前らいつも家じゃ寝てないのか?」


「寝てるさ」
「一応~」


「んじゃ何で眠くなるんだよ。おかしいだろ。夜中に何かやってんのか?まさか勉強とか言うんじゃないだろうな?まぁ、お前らぐーたらーにはそんなことはありえんだろうが…」

「いや、ちゃんと勉強してたぜ」

「うん、あたしも☆」

「………はぁッ!?お前ら今何て言った?勉強してただと?嘘だ、絶対嘘だ。そんなことありえんし、信じられるかッ!例え皆がそう信じることがあろうとも、これは、世界中を揺るがす
驚天動地ッ!!忌々しき事態だぁッ!!株が暴落するなんて比じゃない。これは世界の破滅を意味する。こんなことがあってたまるか。あたしだけは絶対信じないぞッ!」

茜は、いつになく熱弁を振るって俺たちに失礼な言葉のオンパレードを炸裂させる。

「失礼な。俺だって勉強くらいはちゃんとやるさ。なぁ~かえで?」

「うん☆あたしだって毎日欠かさずやってるもんネ☆」

「って本当に…なのか?いや、嘘だ、惑わされちゃいけない。きっとだらけすぎてこいつらがおかしくなってるだけだ。そうだ、そうに違いない。あたしはまともなんだ」

「…おいおい。茜、失礼にも程があるぞ。俺だってあんな気持ち良くて病み付きになる勉強方と出会ってからはやっと家でも勉強できるようになったんだぜ??それを何だ?嘘だ、おかしいの繰り返しはよ。それはあんまりじゃねぇか」

「うっ…そうだったのか…すまん。…ん?でも、気持ちいいって…一体」

「そうそう☆あたしもあの作品に出会ってから最近では、いろいろと頭を使って戦術を考えたり、どうやったら攻略できるんのかな~とか考えたりして頭が活性化してるよ☆いや~まったく頭を使うことはホント素晴らしいことだぁ☆」

「…ってちょっと待て。かえでのはちょっと何かが引っ掛かる。お前ら一応聞いてやるからちゃんと真面目に答えろ、いいな?お前ら『何の』勉強をしてるんだ?」

茜は、何やらじとーっとした目で、俺とかえでを見つめてくる。…何だ?

「何のって決まってるよな?」

「うん☆決まってるネ☆」

俺とかえでは顔を見合わせ、互いにアイコンタクトでそれを確認し、合図を送る。
-そして


「睡眠学習だろ」
「○○ランスの戦略攻略術でしょ☆」


「………」

何やら変なモノを見たような表情で、まるで沈黙魔法をかけられたかのようにじっと固まっていた。

「ん?どうしたんだ?」

「…まったくお前らは。まぁ、そういうことだと思ったけどな、『あたし』は。ホント期待を裏切らないヤツだよ、お前らは」