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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章   11話   『十人十色』

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「うるせぇ!そんな暇ねぇんだよ!わかったらさっさと失せやがれ!」

「…そうか。なら、しょうがねぇ」

「う、うわぁあ!お、おい!お前ら早く逃げるぞ!」

「はぁ?何でだよ?後もう少しで愛しのお姉さまに近づけるってのによ」

「そうだぜ。何を逃げる必要がある」

「後ろよく見ろって、あいつは…」

その男子生徒が次の言葉を告ぐことはなかった。なぜなら…。

「何も買わないお前らはここにいる資格はねぇッ!!飛んでけぇえええええええッ!!」

その男子生徒ごとあとの二人も一緒に薙ぎ払って、隅の方にぶっ飛ばしてやる。

「…やれやれ、まったくしょうがねぇ野郎どもだ。まぁ、これでちょっとはさっきよりかマシになっただろ」

お姉さん目的だけで購買に来てるヤツだけを排除してやったからな。まぁ内心そういうヤツもまだいるだろうがこれを見ればきっとそんな気も失せるだろ。

「あ、あの先輩ありがとうございます」

「先輩、サンキューです。本当に助かりました」

「いいって別に。俺もただ急いでるだけだったし、礼なんていらねぇって」

そう言うと、俺はやっとこさ購買に辿り着くことができた。

「あ、春斗くん。いつもご苦労様。今日も派手にやってくれちゃって。先生にまた怒られるわよ??まぁ、購買の主としては正直いつも助かってるわー」

購買のお姉さんが忙しそうにしながらも俺に話しかけてきた。その額には薄っすらと汗を覗かせていた。

「そんなのいいですって。それより、注文いいっすか?」

「はいはい~どうぞ」

「サンドイッチと牛乳、あと、お茶か何か下さい」

「はいよ~。会計780円になります。あ、はーいちょうどいただきます。ありがとうございました~」

お姉さんのにっこりとした笑顔を背に俺は購買を後にした。

「あ、先輩。さっき突然、走り出したのでビックリしてしまいました」

「あぁ、ごめんなまどかちゃん。でも、ほら何とか買ってこれたからよしとしようぜ」

俺は、あの戦場で勝ち取った戦利品をまどかちゃんに渡す。

「…あ。先輩これは…。それじゃさっきのは、私のために?」

勝ち取った戦利品を見つめると、まどかちゃんは小動物がぴょこっと何かに反応するかのように驚いた表情を俺に見せると、途端に、控えめな笑みを浮かべ、何だか嬉しさと何とも表現し難い照れ隠しな気持ちが織り交ざったようだった。…頬が少し赤いのは気のせいだろうか。

「ん?いやまぁ、まどかちゃんじゃあれは大変だと思ったからさ。それに、俺も腹減ってたからな。そう、ついでだ」

俺は何だか照れてしまい、照れ隠しでそう言った。

「ありがとうです。雛月先輩」

まどかちゃんは、満面の笑みを浮かべてペコリとお辞儀するのだった。
…ホントいい娘だな。

「それじゃ、まどかちゃん、またな」

「はいです。またです~先輩」

そう言うと俺はその場を後にし、その後は屋上で適当に時間を潰して過ごしたのだった。





授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、今日1日の授業が終わった。
しかし、まぁ今日も何だかんだで長かった長かった。

「よっしゃ!やっと今日も終わったぜ。とっとと帰って昼寝としゃれ込みたい気分だぜ」

「あはは。よく言うぜ。今日も朝からずっとぶっ通しで寝てたくせによ。もう十分昼寝してたもんじゃないか」

「いや~不思議とこれがまた眠くなってくるんだよ。これが春眠暁にして何とかってヤツかもしれないな」

「…いや、それはまた別の意味で違うと思うぞ」

「ぐふふ~☆それに春斗の場合、昼寝のつもりが本眠になってること多いよネ~☆」

「あはは。それは言えてるな」

「もう~!笑い事じゃないよ~。もうちょっと心配してる私の身にもなってよ~。もうちょっとしっかりしてくれないといろいろと困ったことになるんだからね!!ただでさえハルちゃんは危ないんだからね~」

それはどういう意味だ?冬姫…。

「どうしたんですか?皆さん何だか楽しそうな話をしていたみたいですが」

「あ、ミナちゃん。聞いてよ~ハルちゃんったらね…」

ミナがやってきたかと思うと、冬姫はミナを捉まえて何やら俺について愚痴を洩らしているようだった。何て言うか、冬姫。そのしょうがないんだからもう~ってな顔も素晴らしいくらい
思わず表情が緩んでしまうくらい冬姫・ザ・マジックがここいら一帯に展開して、クラス中が冬姫色になっていることだぜ。…いやマジで。

その証拠にここで一番例にしやすい暁が陥落してるからな。…ってこいつじゃいつものこんなんだから意味ないか。

「おっと…そうだった!危うく重要なことを言い忘れるとこだったぜ」

「何だ?その重要なことっていうのは?」

突然、凍弥がそう言って俺たちのとこにやってくる。…何だかいやな予感がしてきた。

「へへん、それはな、日曜にみんなで花見大会をしようと思うんだがどうだ?」

「は、花見?お前にしては珍しく真ともな提案だな」

明日の天気は、全国に亘って槍が降ることだろう。…想像しただけで恐ろしい。

「お花見ですか~。私、お花見したことがないので楽しみです」

ミナは、花見がどんなものなのか想像してるのか楽しそうに微笑んでいた。

「そうなんだ~。それじゃミナちゃんにとって初めてのお花見なんだね~♪楽しみだね、ミナちゃん」

「はい♪」

ミナは、嬉しさと楽しい気持ちで一杯な笑顔で微笑んでいた。

「ん~あたし、花粉症だから~あまり外には出たく……」

「嘘だろ。かえではバリバリ健康体質のはずだ、違うか?」

「確かに、昔から風邪一つひいたこともなかったしな」

「さ…さすがはわが親友&幼馴染…侮れん」

「まぁ、どうせやることなくて暇だったし。暇つぶしにはなるかな」

家にいてもいつものように寝て1日過ごすだけだろうしな。たまにはいいか。
それにミナも喜んでいるみたいだしな。ミナも加えた皆で花見をするのも楽しそうだし。
茜も俺と同じことを思い描いたようで、

「そうだな、ダラダラ休みを過ごしてももったいない!やろうぜ」

「でも、急にそんなこと言われても準備は大丈夫なのか?」

「そうだね、いきなりそう言われても準備とか大変そうだね~」

「あはは、その辺は抜かりないさ。会長がとっくに発注済なのさ」

「さ…さすが会長…」

「しかし、ただの花見じゃつまらねぇな」

また、こいつは急に何を言い出すんだ。…普通でいいじゃないか。
普通に越したことはこれほどない。
しかし、姉さんと凍弥の生徒会コンビのことだ。…普通には…いかないだろうな…。

「心配しなさんな、その辺はちゃーんと俺たち生徒会で計画を進めといたからよ」

やはりな…。期待を裏切らなくてお兄さん…嬉しいよ…トホホ。

「フッ…さすがだぜ凍弥。お前の悪知恵には毎回驚かされるかぎりだぜ」

「おいおい、そんなに褒めなさんなって」

いや、褒めていないぞ。むしろ呆れてるぞ。
しかし、暁は反旗を翻すかのようにキランと目を輝かせて、

「だが、しかーしッ!!今回は、凍弥、お前の出る幕はないわッ!全てこの俺、暁に任せてもらおうか」

「ほぅ~、大した自信じゃないか。何か考えでもあるというのか?」