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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章   11話   『十人十色』

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ここで行かない俺は、男じゃねぇッ!!家族じゃねぇッ!!…いざ、参るッ!!
そう思うと俺は、学食のある東館まで向かうのだった。


-ざわざわ


「…まぁ、わかっていたけどな」

学食に着くと、予想通り席は満席、たくさんの生徒で潤い賑っていた。
中には立ち食いする生徒までもいる。…確かに昼休みなってから大分時間も経っているからな。俺は完璧に出遅れたってことだな。…選択を誤ったか。

俺はどうしたものかと考えながら学食を右往左往歩き回っていた。

「おーい、お兄ちゃん~♪」

すると、明日香の声が聞こえてきた。…ってどこだ?
俺がキョロキョロと周りを見渡していると、

「お兄ちゃん~♪ここだよ~♪ここ、ここ♪」

声の聞こえる方に視線を向けると、そこには明日香とそのクラスの女の子たちがそこにいた。

「珍しいな今日は学食か?明日香。お前が学食にいるなんてな」

「そうだよ♪今日は学食にするって決めてたからね♪でも、お兄ちゃんこそどうしたの?こんなところで?お昼もう食べちゃったの?」

「いや、ちょっと教室でとんだハプニングが起きてな。それで、何とか逃げてたところだ」

「もう!お兄ちゃんまた何かやったの?また、せんせーに怒られるよ」

「いや、今回は俺のせいじゃねぇしッ!!断じて俺じゃない」

そうさ、あれはただタイミングが悪いのが重なっただけだ。俺のせいではない…はずだ。

「そうなの?まぁそれなら、いいけどね♪」

明日香は、あっけらかんな表情で再びいつもの元気満点笑顔に早変わりだ。
…どうやら今のことは特に別にもう気にしてないらしい。っていうか今この瞬間に忘れてしまっているであろう。明日香は昔からそんなんだったな。

「あ、あの~こんにちは。明日香ちゃんのお兄さん」

うっかりぼーっとしていると明日香の隣にいる女の子が俺に挨拶してくる。

「お~、確か、美里ちゃんだったよな?」

「あ、はい!覚えていてくれたんですか、嬉しいです」

「あはは。大げさだって」

「では、私のことはどうでしょうか?」

「君は個性的だったから覚えてるよ。三咲ちゃんだろ?」

「ほほほ。さすがは明日香ちゃんのお兄様ですね。尊敬しますわ」

「あはは…。だから大げさだって。単に記憶力だけはいいってだけさ。別に尊敬される程俺は立派じゃないよ」

「ほほほ。そのご謙遜するところも素晴らしいですわ。私たちも見習わなくてはなりませんね。明日香ちゃんはいいお兄様を持って幸せですわね」

「そうなんだよ♪ボクはお兄ちゃんと一緒で幸せなんだよ♪えへへ♪」

「いいな~明日香ちゃん。私も明日香ちゃんみたいなお兄さんがいたらな~」

すると、いつの間にか美里ちゃんは、夢見る少女的な表情で俺たちには見えない何かを見据えているのだった。そして、明日香Withゆかいな仲間たちはいつの間にか変な方向へと違う話題で盛り上がっていた。…相変わらず明日香の友達は、明日香と同じくらい元気溢れる娘たちだな。

俺、何だか飯食う前に疲れてきたぜ。…やっぱここは選択を誤ったかもな。

「まぁそれはいいとして、お兄ちゃんお昼まだなんでしょ?だったら早く何か買っておいでよ。ボクたちの席1つ空いてるからここで食べなよ♪時間まだ大丈夫だからボクたちもまだここにいるからさ♪」

明日香は空いている席をちょんちょんと指差しながら俺にそう言う。

「そうだな、取り敢えず何か買ってくるわ。んじゃ、席よろしく」

「うん♪いってらっしゃい~♪」

明日香たちの言葉を背に俺はやはりこう考えるのだった。
選択を…誤った。
そして、この日の昼は、明日香とその友達に囲まれ賑やかな時間を過ごすはめになってしまったのだった。




「さて昼飯も食べたことだし、暇つぶしにお姉さんのいる購買にでも行ってみるか」

何てったってこの学園には勿体ないくらいの美女なお姉さんだからな。今の疲れきってる俺を優しく癒してもらうにはここしかない。それにだ。ここで行かないなんて男じゃねぇッ!!本能に赴くままに素直に生きろッ!!

…ってことで、いざ、参るッ!!
そう思うと俺は、購買へと足を運ぶのだった。


-ざわざわ


「…まぁ、わかっていたけどな」

購買に着くと、未だにその周りは生徒で一杯で購買は戦場と化していた。
…まぁ、大半は男子生徒が占めていたのだが。
まぁ、おそらくヤツらはお姉さん目当てだろ…暇人共め。って俺もか。

「しかし、でも、こう混んでいたんじゃ買いたくても至難だなこりゃ」

ちょうど喉も乾いたので何か買おうと思ったがこの有様だ。どうしたもんか。
俺はどうしたものかと考えていると、そこにいた見覚えのある後ろ姿の女の子がぴょんぴょんと飛び跳ねているのが目に入った。…あの2つのウサギさんは。

「あれ?まどかちゃんじゃないか」

そう俺が見間違えるわけは全く皆無である思わず見惚れてしまうような可愛らしいツインテールに、リスのようなくりっとしたドングリ瞳、カナリアのようなプリティボイスを兼ね備え、そこにいるだけで愛らしき存在な我らの癒しのマスコットがいらっしゃった。

「え?あ、雛月先輩!こ、こんにちはですっ!」

まどかちゃんはぴょんぴょんと飛び跳ねるのをやめて、俺に向き直りペコリとお辞儀する。
…ホント礼儀正しいいい娘だな。

「まどかちゃんも購買か?」

「はい。今日は時間がなくてお弁当作れませんでしたので、今日は購買で買おうかと思ったんですが…」

まどかちゃんは、たくさんの生徒で溢れかえっている購買を見つめる。

「ちょっと出遅れてしまったようですね。困りましたです」

まどかちゃんは、困った表情でうーんうーんと考え込んでしまった。
…確かにな。まどかちゃんのようなか弱い女の子があの野獣どものいる戦場に突入するのは不可能だ。っていうか俺がそんなとこにまどかちゃんをおいそれと行かせるものか。

そんでもってそんな場所にぽんと行かせてまどかちゃんに何かあってもみろ。その瞬間に即バトル開始だ。バトル・オン・ザ・パレードだ。だから、俺は、まどかちゃんに訊ねた。

「まどかちゃん、何を買うつもりだったんだ?」

「え?私ですか?私は、サンドイッチと牛乳ですが、どうしてそんなことを??」

「わかった。ちょっと待ってろよ」

「せ、先輩?!」

俺はまどかちゃんにそう言うと、生徒で混み混みで溢れかえっている購買に突っ込んでいった。

「うおおぉぉおおりゃぁぁああッ!!退かねぇと怪我するぜッ!!おらおらぁッ!!」

「げッ!!雛月ッ!!何でこんなところにッ!?お前今日は弁当だろ?」

「まぁいろいろあってな。そういうことですまんな。排除ッ!!」

俺はクラスの男子を蹴りで軽く薙ぎ払い、さらに、前へと進んでいく。
やっと半分くらい進んだところで、ふと目に入るは困っている後輩の女の子たち。
よく見ると、お姉さんだけ目当ての男子どものせいで前に進めないようだった。
…しょうがねぇな。

「おい、貴様ら」

「何だよ。今、忙しいんだ。邪魔するな」

「ほ~??いい度胸じゃねぇか。一応聞いておくが、貴様ら何か買ったか??」