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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章   11話   『十人十色』

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「あ、そうだったよ♪もう朝ごはん出来てるから早く降りてきてねって言いに来たんだった♪」

明日香は、あはは~と頭を掻きながら照れ笑いしていた。
さすが明日香。家事だけは一人前だな。

「わかった。着替えたらすぐに行くよ」

「うん♪それじゃボクは下で用意してるよ♪待ってるから早く来てね♪」

「おう。わかってるって」

それを聞くと、明日香は俺の部屋から出て行くのだった。

「んじゃ、さっさと着替えて美味い朝飯としゃれ込むとするか」

そう思うと俺は、一気に着ている服を脱ぎ捨て、制服に着替えるのだった。





ようやく午前の授業の終わりを告げるチャイム音が学園全体に響き渡るのだった。

「ふぁ~。やっと午前の授業終わったか。…ここまで長かったな」

「もう~ハルちゃんは授業中ずっと寝てただけでしょ~」

声を聞いただけで、俺の後ろの席にいる冬姫がプンプン怒っている表情がよくわかる。

「あれ?そうだったか」

「ははは。寝てたことも自覚なしとはさすが春斗だな。これは誰にも真似できん」

「う~ん…。何だか褒められた気がしないのは俺の気のせいか?」

「ん?気のせいだろ」

「…そうか」

俺は何だか釈然としないような妙な感覚を感じていた。
…う~ん、何か引っ掛かる気がするがまぁいいか。

「もう茜ちゃんまで~ハルちゃんと一緒になって~。ダメだよ~もう!」

さらに冬姫はプンスカするのだった。…いや、でもいつも思うが、その顔は可愛いだけだと思うぞ。

「ん~そんなことより早く昼ごはんにしようよ☆あたしお腹空いた~」

かえでは目をバッテンにして、べたーっと机に突っ伏す。

「そうだな。あたしも腹減ってたんだった。思い出したら急にもの凄い空腹感が…。くぅ~!!早く昼飯にしようぜ」

「相変わらず色気もへったくれもない台詞だな、おい」

「別にいいだろが、そんなもん。あたしは今、もの凄く腹が減っている…これが事実だ。色気なんか知ったことかよ。あれだ、こういうのよく言うだろ?色気よりも食い気、花より団子ってな。あたしは今そんな気分なんだよ」

「お~☆今、茜がいいことを言った☆さすが、ザ・ベスト・オブ・漢ッ!!ダテに学園の姉御(アイドル)やってないネ~☆いい漢っぷり満載の言葉であった」

いいこと…だったのか?っていうか漢っぷりって…。

「あはは。かえで、そう褒めるな褒めるな~あはは」

いや、どう解釈したらそんな発想になる。よく考えてみろ、『漢』って連呼され、最終的にお前は漢ってことで認識されてるんだぞ。…もしや、茜、本気でそっちに転向するおつもりで?

「…ハルちゃん、また、変なこと考えてるでしょ」

冬姫はじとーっとした目で俺の顔を覗き込む。…何であなたはこうもまぁ俺の心を。

「んなことねぇよ。でもまぁ、俺も腹が減ったことだし、飯にするか。冬姫、ほら飯にするぞ。っと俺はミナを呼んでくるぜ」

俺はそう言うとミナのいる席までとっとこ向かうのだった。

「あ、ハルちゃん…ってやっぱり変なこと考えてたんだね~もう」

俺の後ろから冬姫のため息が聞こえた…ような気がした。
そんなこんなでミナの席までやってきた。相変わらずミナの席の周りはクラス連中で賑っていた。…まぁ孤立しないのはいいのだが。

「ねぇねぇ、アミーナちゃん。転校してくる前はどうしてたの?やっぱり、外国の学校に通っていたの?」

「あ、あわ…あぅ、そ、そうです」

「へ~そうなんだ。アミーナちゃん可愛いから向こうの学校でもモテたでしょ?」

「え?あぅ…あの、その…いえ、べ、別にそんな…うぅ」

「え~こんなに可愛いのにね~。向こうの男って見る目がないわね~」

「言えてる~。マジ鈍感~マジ最悪じゃん??」

「そ、そ…そんなことは…な、ないです…うにゅ…。…わ、私、背もこの通り小さいですし、子供っぽい体形ですので…」

「………」

この通り俺ら以外は、てんでまだ慣れてないようで、びくっとしておろおろわたわたするのだった。…う~ん、どうしたものか。俺がうんうん悩んでいると、

「その通りだッ!!こんな可愛らしく愛らしいミナちゃんを蚊帳の外にするとは不届き千万、実に嘆かわしいッ!!俺がその場にいたら即矯正し、一からミナちゃんの良さを思う存分に語ってやり、それを頭に叩き込んでやっているところだ。実に残念だぜッ!」

「え?あ、あの…いいですよそんな…暁さん。私は、そんな…あわぅ」

ってお前もいたのかよッ!!

「いや、ミナちゃんそれではダメだ。もっと自信を持つんだッ!!ミナちゃんが本気になれば誰でもイチコロなんだッ!!よく考えてもみろ、ミナちゃん。君の持っているその輝かしい眩いばかりの萌え要素をッ!!」

「え、え?」

「そして、それが見事開花し、光り輝くとき、ミナちゃんは絶対的な力を手に入れることができるのだ。そう、ミナちゃんがそこにいるだけで皆を虜にし、萌え萌えな矢で皆のハートを見事射抜くことが出来よう!!これは、まさに萌えの昇華ッ!!さぁ、ミナちゃん。俺の手をとり、明日の輝かしい未来へと共に…ぐはぁッ!!」

「しつれいしまぁ~す。あ、ハルトお兄ちゃん♪いっしょにお昼ごはん食べようよ~♪」

暁の馬鹿な演説をヒカリの見事な払いで粉砕し、俺目掛けて駆け寄ってくる。
…って冗談じゃない。また、昨日の二の舞になってたまるか。
そう思うと、俺は、駆け寄ってくるヒカリを右に避け、後ろの出口から教室を後にすることにした。

「まってぇ~まってよ~ハルトお兄ちゃん。何で逃げるの~?わたしのこと嫌いになっちゃったの?」

いや何でってお前が追ってくるからだろうが。…ってそれに誤解を招くようなこと言うな。
くそ、こうなったら…。

「かえでッ!!お客様1名、俺らのクラスにご来店だ!粗相のないようにお客様を席までご案内しろッ!」

「畏まりました~ご主人様☆」

「あ、こら何をするッ!!放せ!え、あ、ハルトお兄ちゃん~!」

かえではそう言うと、ヒカリをとっ捕まえて、席までつれていく。
…よっしゃ、大成功だッ!!まんまと俺のノリにかえでも乗ってくれやがった。
かえでは、以前にバイトでメイド喫茶で働いていたことがあるらしい。

俺も詳しくはよく知らない。噂でちょいと耳にしただけだ。…でも、かえでがメイドか。
想像できん。一度どんなもんか見てみたいものだ。
…って別にやましい気持ちでじゃないからな。

でもまぁ、思い出してよかったぜ。そうじゃなかったらヒカリと仲良くお昼ごはん
だったからな。…考えただけでもそれはごめんだね。俺はまだ人生喪失したくないからな。
俺は、かえでに後は任せて教室からとんずらするのだった。





「しかし、教室から無事にとんずら出来たのはいいのだが、これからどうするか」

俺の弁当は冬姫が持ってるわけだしな。そうすると選択肢はこれしかないだろうな。



<選択肢1>
「我らがオアシス、学食に決まってるだろ」

<選択肢2>
「いや、ここは美女と野獣、購買に決まってるだろ」



「よし、まずはやっぱ学食だな」

あそこは俺のファミリーみたいなもの、いわば俺の第2の故郷みたいなものだからな。