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情熱のアッパカパー要塞

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 「ああ、判ったよ!今すぐ!報酬を払うよ!ああっ!なんて君達は、有り難いんだ!本当に、もう何て感謝したら良いんだよ!言えないよ!言葉が浮かばないぐらいに感謝しているんだ!」
 小イジアは言った。そして喜びながら、携帯電話を取り出して操作した。
 「あー財務長官フリッヒ?ボクだよボク。小イジアだよ。僕の口座から二百五十ネッカー(二千五百万円)を冒険屋パーティW&M事務所の口座に一人ずつ振り込んでくれ」
 小イジアは携帯を掛けていた。
ドタドタと走ってくる音がロード・イジア要塞の入り口に向かって大きくなってきた。
「どういうことだ!バカ息子ぉ!アッパカパーの娘と結婚するなど許さんぞぉ!」
ロード・イジアが叫びながら走ってきた。
 「何という事であるか!小イジア様!」
 マッタール大臣も走ってきた。
「母は認めません!」
 ロード・イジアの妃も走ってきた。
そしてスカイ達は、自分達が与えられた部屋に向かって歩いていった。スカイは仕事が成功して金が手に入ったが罪の意識で足が重かった。些か遅い夕食がルーム・サービスで来て摂った。スカイは後悔の念で何を食べたのかも覚えていなかった。そしてスカイ達は疲れて、それぞれの部屋で眠った。



「ミリシン君、どうか、私の娘を助けて欲しい」
 アッパカパー伯爵が弱々しい声で携帯電話越しにミリシンに言った。
「私の出来る範囲で協力します」
ミリシンは言った。
 アッパカパー伯爵の娘がイジア国へ嫁ぐという歴史的な変化が、如何なるものであるか、ミリシンは想像出来ないでいた。
 「そうか、ありがとうミリシン君。ロード・イジア要塞では、私の娘は君しか、頼れる人間はいない。すまない、実にすまない」
 アッパカパー伯爵は言った。



夜の間は雨が降っていたが、朝になると雨が少し残っていたが晴れた。
雨が上がったパレッアー山脈の山々には虹が掛かっていた。
「まあ、結果的には金が手に入ったし悪い仕事じゃなかったな」
 スカイは雨が上がったためポンチョのフードを上げて言った。少々後味が悪かったが、まあ、金の為には仕方がなかった。金は偉大で重要な物なのだ。世間知らずで、妙な正義感を持った貴族の娘を売り渡しても、それは、偉大な、お金様の為す業であって、欲しい物がある人に、欲しい物を渡して、スカイ達は仲介した手数料を受け取るだけなのだ。スカイは、それから先は、責任を持つ必要は無かった。だが、それでも、まだ少し後味の悪さを感じてはいたのだが。
 「うむ、小イジアとポロロンの結婚がイジア国とアッパカパー要塞の長年の争いに終止符を打つわけだ。俺達は歴史を動かしのだ。影ながらとは言え。良いことをした後は気分が良い物だなスカイ。うん、良い空気だ。たまには山登りも悪くは無いと言うことだな」
 マグギャランは土産物が入った紙袋を持ったまま欠伸をして伸びをしながら言った。
スカイ達は、多少後ろ髪を引かれながらも、のんびりとパレッアー山脈の山道を下っていった。
 


まあ、この時の仕事では、色々な所にコネが出来たんだよ。ロード・イジア要塞に集まった冒険屋達とは、後で、また会うこともあった。それに、ニワデルとスローターは、俺達の事を捜し出して、ロボットの修理代を請求してきたりもした。ローサルの奴は後でコモンが滅茶苦茶になったときに闇の力で魔人王になりやがった。ひょんな事から勇者になってしまった俺は、あいつの軍勢とは何度も戦う事になるんだ。
カーマインとはカーマイン大公国復活をかけた陰謀に、アンのせいで俺達も巻き込まれてしまったときに、また会った。アンの奴は俺達を殺そうとして、いつも酷い仕事にミドルン王家の権威を使って参加させるんだ。
ボンドネード・ファミリーと一緒に仕事をすることも何回かあったな。
何?ポロロンが、この後どうなったか?まあ、それは色々在るんだよ。世の中、一寸先は闇って言うからな。まあ、ポロロンをロード・イジア要塞に送り届けたときは、まさか、後で、俺達の仲間になるとは思ってもみなかった。まあ色々在るんだな。今日は話し疲れたから、ポロロンが仲間になるデタトン市の話は今度にしようや。それじゃあ、またな。
  (聞き手ノベラーY)
次回!
  「戒厳令都市デタトンの恐怖」へ続く!