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せんこう花火

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或る学園の生徒実行委員会。
毎年 この時期に行う夏のイベント。 夏季文化祭のような感じだ。
しかし、今年の実行委員長と実行副委員長は、入学当時からのライバル。
いや 犬猿の仲と云われるほど仲が悪い。

実行委員長の犬飼は、温厚ながら きっぱりとした態度は好感が持たれる。
「みんなが 和気あいあいと参加できる 肝試しがいいと提案する」
そんな犬飼の意見には 必ず反論する実行副委員長の猿渡もなかなかの人気者だ。
「いやぁ 花火がいい。夜のクライマックスだ。 肝試しじゃ地味だよ」
犬飼は、相手を認めつつ、意見を否定していく。
「確かに華やかになるが 火気厳禁じゃないだろうか」
「肝試しだって 提灯を持たせりゃロウソクの明かりで危ないだろ」

腕組みして考える犬飼と 机の天板を指先でカツカツと弾きながらいらだつ猿渡を ほかの実行委員のメンバーは はらはらしながら窺い見る。
「試しに やってみたら」と実行委員の誰かが言った。
珍しくも 犬飼と猿渡の意見が合って試行することとなった。
「どちらから やる? ジャンケンで決めよう。一発勝負! 勝った方からだ」
会計の金田が掛け声をかける。勢いとともに差し出された手。
そして 決まったのは・・・・・


『はい! 先攻 花火!』


作品名:せんこう花火 作家名:甜茶