20世紀に思う
彼が遺した名曲は数々ありますが、枚挙すればキリがありません。ただ、クリスマス時期になるとこの曲ばかりが耳に残るのです。タイトル通りクリスマスの曲であること、同時期にジョンが凶弾に倒れたことがリンクするからというのもあります。しかしこの曲はそれだけでは片付けてはならないほどの印象があり、ただのクリスマスソングではないと思うのです。
当時の時代背景からこの曲が生まれたことは、歌詞を読めば間違いないと思います。ジョンは当時激しかったベトナム戦争(1960~1975)などをはじめとした戦争を頑なに反対し平和を訴え続けました。世界は2度の大戦を経験しても一向に戦争が絶えない世界、米ソとの間で一触即発の冷戦状態が続いていることを嘆いていました。
世界を掴んだともいえる時の人であるのに、彼は20世紀の中ごろの時代背景を華やかとは思わなかったようです。そんな中で生まれたこの曲の歌詞は彼の思いと願いが色濃く現れているものだと思っています。
歌詞は英語ですが、比較的平易な単語で構成されておりますので是非辞書を片手に個人で解釈していただければと思いますが、大まかに訳しますと、
身分も、人種も、老いも若きも、関係無しに
ともに願おう、いい年であるよう
といったもので、何よりも平和を愛したジョンらしい歌の一つだと思います。
そして「happy Xmas」の歌詞は最後はこうしめくくられています。この一文で前段の歌詞をすべて昇華させ、この曲がただのクリスマスソングで片付けられないものにしていると考えるのです。
war is over, if you want it
ジョンは「戦争は終わる、貴方が望むなら」と言っています。これは歌詞ですから、行間があります。そこで著者は彼がこう言いたかったのだと解釈します。
「you」――ここで言う「you」は前段の歌詞に出てきた人への問いかけ
つまり我々一人一人が望めばそれは実現できるんだよ
と。
21世紀の現在でも戦争は終わっていません。道はまだまだ遠いところにあります、でも、ここで足を止めてしまえば何も生まれません。著者は戦争の無い世の中を望みます。切に望みます。世代を、人種を、貧富を、宗教を越えて我々は「人」であることに感謝、良いクリスマスと新しい、そして平和な年を過ごしたいものです-―。